2010年 04月 12日
萩中公園  「とりあえず萩中公園に集合な」
 東京の城南地区で、大田区は世田谷区と並んで味わい深い公園が多い区と言えます。その中でも特にいい感じの公園と言えばこの萩中公園が出てきます。

 京浜急行空港線の大鳥居駅が最寄駅です。駅周辺は日本が世界に誇る町工場のメッカです。「世界のオオタ」の一員として長年働いている職人さんに聞くと、それまでは月末でも産業道路が渋滞しなかったのだけど、最近復活してきたと言っていました。渋滞を歓迎するような口ぶりがおかしかったのですが、製造業に活気が戻ってきたことが端的に分かる話です。ただ、少し前の話だから、今はまた厳しくなっているのかもしれませんが。

 町工場街から少し離れた一角に萩中公園があります。

 まず目を奪われるのはぼろぼろのバスやロードローラーや路面電車が立ち並ぶ一角です。感動するほど手を入れられていないそれらのスクラップは、誰でも自由に出入りが出来るようになっています。バスの運転席に座る子供がいたり、消防車の上で話し込む若いお母さんたちや、漁船(!)の中で寝転ぶおじさん。まったく統一感のないオブジェクト&客層ですが、不思議なくらいそれぞれが共存してなんだかまとまりのある風景を醸し出しています。

 乗り物広場(?)の先には、交通公園が広がります。小型の自転車やカートで用意されたコースを走って楽しむ中から交通ルールを学ぼうというスペースは、23区内のあちこちにあります。ここはその中でも結構古い方だと思いますが、よく手入れをされていて好感をもてます。休みの日には子供たちでいっぱいになりますが、平日には職員たちが、交通公園の自転車を整備したりしてのんびりしています。

 ここは、基本的には地元の人のための公園だと思います。さらに言うなら、地元の子供にとって、なんかあったら「萩中公園」がとりあえず集合場所、みたいな公園です。自転車に乗って通いつめていた子供たちが、少し大きくなっていろんな意味でさかって、恋の語らいをしたり他校の学生といがみあったりして、というような公園。

 もしかしたら、消防車の上で語らっているヤンキー上がり風のお母さんたちは、それらを一通り経験しているのかもしれません。で、多分、その消防車を危なっかしくよじ登っている息子と思しき子供たちもこれから一通り経験して、需要も回復してきた町工場で働き出すのかもしれません。そう考えると、乗り物中心のインダストリアルな構成物も、ありとあらゆる工業部品を作り出す町工場へのなじみを深めるには格好の素材です。

 とは言っても別に排他的なローカル意識が満載な場所ではありません。東京の公園を紹介する個人サイトの多くで、萩中公園は特に子供を持つ親御さんたちから高い評価を得ています。確かにこの公園は古いけれど、来る人を拒まない独特の人なつっこさみたいなものがあります。澄ましていず、かと言ってべたべたしすぎず、身ぎれい。居心地のよさを含めて、個人的には冒頭の町工場のおじさんに共通する感触があります。

 町工場の中をぶらぶらと海の方へ向かうと森が崎公園があります。羽田空港に発着する飛行機が間近に見られるこの公園もまた、ここらで育った人に聞いたら、なんかあったら自転車で集合する公園なんだそうで、なかなか味わい深いのです。

 ♣♣♣

萩中公園(はぎなかこうえん)
*所在地: 大田区萩中3-26-46 
*アクセス: 京急空港線「大鳥居」下車徒歩6分/JR「蒲田」から京急バス 萩中経由羽田空港行き「萩中公園前」下車徒歩1分
*その他付帯設備: 温水プール(夏は屋外プール)あり。

ミシュラン(☆3つが最高)
*ひとり: ☆☆  少々距離はありますが、海の方へ行けば、羽田の海苔やツクダニ屋さんなども点在し、お好きな方にはたまりません。
*ふたり: ☆   近所の森が崎公園、あるいは大森駅から「城南島海浜公園」へ行って羽田空港を間近で見るとロマンチックではあります。
*おおぜい:☆☆☆ この公園は極めてハイレベルな「近所の公園」と考えればいいと思います。近くに駄菓子屋もあるし、子連れには最高。
[PR]

by na2on | 2010-04-12 02:46 | 公園案内。


<< 水元公園 エバーグリーン・ブルース      六義園 時間に磨かれた人工庭園。 >>