2010年 04月 17日
代々木公園&明治神宮 正調オアシス 。
 代々木の駅を降りて、南へ向かう。坂道を下って、また登ると、もう明治神宮の森の入り口だ。門番小屋のあるものものしい門を越えて境内に踏み込めば、たちまちうっそうと茂る木立が迫る。見上げると、大木の枝越しに、空が顔をのぞかせる。何かが動く気配を感じて視線を下へやると、向こうの茂みで、ヘビが姿を隠そうとしている。砂利を踏む靴の音が、耳に入ってくる。

 明治天皇をまつるべく作り出された神宮の森の中に一歩入ると「外」の空気から遮断される。そして、深い森の中でだけ味わえる時間がひめやかに始まる。

 木立の中をしばらく歩くと、木々の連なりが突然終わって視界が広がり、池があらわれる。亀や鴨が泳ぐ水面を見つつ、橋を渡ると、今度は、あおあおとした草はらが目の前に広がる。

 木立に三方を囲まれ、北側に宝物殿を控えた草はらには人々があちらこちらに散らばる。彼らとの間には、奇妙な連帯感があるような気がする。都心の中に隠れる小さな草はらの存在を知り、そこでのひとときをこっそり過ごしに来た、という「秘密」を共有している、ちょっとだけ後ろめたい感覚だ。草に寝て空を見ながら見る彼らの動きは遠い日の記憶を再現するかのようにスローモーだ。ここで流れる時間は、外よりほんの少しゆっくりとしている。

 そんな神宮の草はらは、ささくれ立った気持ちは似つかわしくない、都心の中で、ぽっかりと浮かび上がった、おだやかな場所だ。

 ひんやりとする木立の中に再び入って、今度は本殿の方へ向かい、さらに南進すれば、次第にすれ違う人の数も加速度的に多くなってゆき、代々木公園に行き当たる。

 ここは、新宿御苑と並んで、都心を代表する公園だ。

 広い芝生と、池。その奥にさらに広がる芝生と、花畑やドッグラン。桜の木立と芝生が広がる原宿側は、いわば祝祭的な気配が濃厚に漂う場所だ。エコ系の大イベントから、気の合う者同士で騒ぐ春の花見に夏の夕涼み、ひとりでふらりと来て、民族楽器をふがふが演奏することだってオーケイだ。

 田舎者でもそうでなくても、いささか窮屈な都心の中で、この公園は、息を抜くことができる数少ない場所だ。だいたいのことだったら受け入れてくれるここには、常に人々が集い、何かが動いている気配が濃厚だ。

 都心のみどりには、いつだって、どこか祝福されたような空気が漂っている。明治神宮の芝生や代々木公園のみならず、日々の生活と密につながった近所の公園とかにも同じように。

 公園への入り口をくぐり、中へ入った時から、その場所が持つ固有の時間の流れに身をゆだねることになる。普段気づかない音に耳を澄ませる。その時にしか味わうことのできない、空気や風景に、感覚が開いていく。外側とは、時間の流れが違う、つまり自然が力を保つ場所は磁力を持ち、いつの間にか人が集ってくる。そこに行けば、からだとこころがほぐされるから、あるいは自らの思いをありったけ放出できるから。

 そんな東京のみどりを代表するような、神が宿る場所や祝祭的空間が代々木にはある。なんかあったらここへくればいい。誰もが安心できる場所。そんな場所こそ、まさに「都会のオアシス」と呼んでいいように思う。

 ♣♣♣

代々木公園(よよぎこうえん)
*所在地:渋谷区代々木神園町2-1 TEL03-3469-6081(代々木公園管理事務所)
*開園時間:10月16日〜4月30日 5:00〜17:00/5月1日〜10月15日 5:00〜20:00
*アクセス:JR「原宿」・東京メトロ千代田線「代々木公園」下車 徒歩3分/小田急線「代々木八幡」下車 徒歩6分。(明治神宮宝物殿はJR山手線・都営地下鉄大江戸線「代々木」駅、小田急線「参宮橋」駅が最寄り駅)。

ミシュラン(星3つが最高)
ひとり: ☆☆  代々木公園はどんなヒトだって受け入れる度量の広い公園。宝物殿だって、同じくひとりものを受け入れるけど(続く)
ふたり: ☆☆☆ 雪の降った翌日、一面真っ白な芝生でふたりきり遊んでいたカップル。と僕。あのときの僕は明らかに邪魔だったと思う。
おおぜい:☆☆☆ そんな宝物殿前芝生、友達同士や家族で来ている人多数。にしても都心の公園で西欧系の外人家族ってよく見かけますね。
[PR]

by na2on | 2010-04-17 05:11 | 公園案内。


<< 向島百花園 まあお茶でも。      石神井公園 常連になるという贅沢。 >>