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2010年 04月 18日
向島百花園 まあお茶でも。
 向島百花園は、散策好きが特に好むような一帯にあります。隅田川沿いの長命寺桜もちや言問団子を食べてから、玉の井をぶらぶら歩き、向島百花園へ、さらに、京島の商店街を見る、というコースで1日楽しむことが多いようです。

 長命寺桜もちを始めとする玉の井周辺のお店の菓子は、こざっぱりとした甘味を持っていて、好感がもてますし、京島周辺のうねうねとくねった路地を歩き回って、道に白墨で描かれた丸(ケンケンパの)を見たりすると、本当にタイムスリップしたような気になります。

 実際にそんな時代や、場所に住んだことがないのですが、まさにイメージの中にある「昔風」な街並みにしびれて、ぼくは何日かここへ通い、航空写真でここら辺一帯を目を皿にして眺めたのですが、そんなくらいでは到底見尽くせない奥深さはある街と言えましょう。まあ、どこであろうと余所者である限りその街のキモのような部分を知るのは無理だと判ってはいるのですが。

 百花園は、あたりの街並みと呼応するような気易さを持つ庭園です。

 もともと江戸時代に、通人たちが民営の花園として作り上げたというここは、将軍や大名の持ち物だった他の庭園とひと味違った、道行く人にこんにちは、と声をかけてくれるような気の置けない雰囲気があります。10分もあれば回れる小さな庭園内は、季節ごとに様々な花が咲き、いつ行ってもほんのりとした気分に浸れます(ちなみに名物の萩のトンネルは9月頃が見ごろになります)。まさに和菓子を食べて、ぶらぶら歩いて、この公園で一休みするにはうってつけ、といった庭園と言えましょう。

 何度も書くように、公園と周辺の街の雰囲気は密接に関わっています。

 この庭園は、墨田区の京島、玉の井の境目にあるからこそ、魅力が何層倍かになっていると改めて思います。こまごまとした家や店が立ち並ぶ街の、ともすれば見逃しそうな一角にひっそりと息づいている庭園は、ここらへんに住む人たちの庭に見立てるとちょうどいいのかもしれません。和菓子屋さんは、応接室。余所からここいらを訪れた人たちは、とりあえず、お菓子をいただいてから、今度は、丹精込めて咲かせたご自慢の花咲く小さな庭を見せてもらう、というおもてなしをしてもらっているわけです。過ごしやすい日だったら、お菓子をここのベンチでいただいてもいいかもしれません。

 そう考えると、なんだか、庭園の木製ベンチが、自分たちの祖父母の家にあった濡れ縁のような、ちょっと懐かしいにおいのする、親密で親しいものに感じてきます。

 墨田区には他にも素敵な公園があります。中でも百花園を訪れたら、足をのばして寄っておきたい公園。京島のうねうね曲がった路地に忽然と現れる京島南公園は、強烈な滑り台を持っています。多分23区内最高の高さから急角度で一気に降りる格好の滑り台は、ちょっと子供には危ないんじゃないか、と思えるほどのワイルドさを持っています。

 いろんな意味で勇気を出して滑り降りたら、向島橘銀座をそぞろ歩くのもいい感じです。商店街はここらへんに住む人の台所、みたいなものでしょうか。ちょっとご相伴に預かって、おなかもくちくなると、いつの間にか1日が過ぎてしまっています。

 ♣♣♣

向島百花園(むこうじまひゃっかえん)
*所在地: 墨田区東向島3-18-3 TEL03-3611-8705(向島百花園サービスセンター)
*開園時間: 9:00〜17:00(入園は16:30まで)
*休園日: 年末・年始 (12月29日〜翌年1月3日まで) ※イベント開催期間及びGWなどで休園日開園や時間延長が行われる場合もあり。
*入園料: 一般及び中学生150円、65歳以上70円、小学生以下及び都内在住・在学の中学生は無料。団体割引等あり。 *みどりの日(5月4日)、都民の日(10月1日)は入園無料。
*アクセス:東武鉄道伊勢崎線「東向島」下車徒歩約8分/京成電鉄押上線「京成曳舟」下車徒歩約13分/都営バス 亀戸-日暮里(里22)「百花園前」下車 徒歩約2〜3分

ミシュラン(☆3つが最高)
*ひとり: ☆☆☆ 都内散歩好きにはたまらない墨東地区の中心ともいえるここでひと休み、ってのがいい感じだと思います。
*ふたり: ☆☆☆ 向島、京島周辺には、気の利いたカフェなぞも点在するように。まるまる一日遊んで飽きさせない地域です。
*おおぜい:☆   付近に駐車場等が少なく、電車の駅からもやや距離があるので、家族連れには少々不向きかもしれません。

by na2on | 2010-04-18 00:15 | 公園案内。


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