2010年 04月 26日
芝公園 「おさぼりさま」の楽園。
「この公園はすごく思い入れがある」

 とある人が言った。その人は有能かつ魅力的な女性なのだが、この公園の近所にある会社に勤めていたとき、よくここへサボりに来ていたそうだ。どうも会社勤めに向いていないことが判ってきて、わりと鬱々とした日々を過ごしていた彼女は、忙しい仕事の合間を縫って足しげく通っていた。その時の緑の具合とか、すごくよく覚えているという。そして自分にとって東京の公園と言えば、ここだ、と強調するのである。

 ぼくはこの公園のあんまり熱心な愛好家じゃない。良く知られた公園の割には今ひとつ掴みどころのないところ、くらいの印象だ。

 正直に言って、全体を歩きまわるというよりは、車で傍を走っているときに見るとか、たまたま入った入り口周辺のベンチに座って、というような使い方をされる公園だと思う。多分、彼女も芝公園の全貌を見たことはないと思う。聞いていないけど。

 にも関わらず、いい公園なのだ。

 多分、誰にでも足を良く向ける公園はあるんだと思う。例えばぼくの勤め先の傍にあった小さな公園は、特に目を引くようなものは何もないむしろ居心地悪い所だったが、会社にいるよりはずっといいので、実にしばしばサボりに行った。春に花が咲き、新緑になり、やがて紅葉して、という季節の流れもなんとか感じ取ることもできた。ムシャクシャしたり、痺れている時、ごくマレにすごく嬉しい時に見た木々の様子をその時の気分と共に鮮明に思い出すことができる。当然個人的には、思い入れのある公園と言える。

 そういった勤め先のそばにあって足をつい運ぶ公園があって、みどりがあると、ほっとした気分になるのは、もう、これはどうしようもなく当たり前のことだ。そういったとりあえずのひと休み、有り体に言えばサボりに利用される公園、いわば「おさぼりさまの公園」が、木々がうっそうと茂る中に、ベンチが点在するところだったら、なおのこといい。

 どんなときだって、公園で味わうほっとした気分はかけがえがない。そして、日常所属している場所からひととき開放される公園は、いかなる個人的な心持ちも受け入れ、内側に入ることを許してくれる懐の深さがある。

 そのひとつの代表が、芝公園。ここは都心の貴重な休息の地だ。見ればおさぼりさまがそこここに。ああいいなあ。この公園の近くの会社に勤めようか。なんて。

 ♣♣♣

芝公園(しばこうえん)
*所在地:港区芝公園
*アクセス:JR・東京モノレール「浜松町」下車 徒歩12分/地下鉄三田線「芝公園」もしくは「御成門」下車 徒歩2分/地下鉄浅草線・大江戸線「大門」下車 徒歩5分、等。

ミシュラン(☆3つが最高)
*ひとり: ☆☆  そこここに置かれたベンチで過ごす平日午後のひととき、みどり濃い芝公園は最適かも。
*ふたり: ☆   古墳の上に作られた芝公園は隣接する東京タワー等と共にかつては岬の突端だったそう。
*おおぜい:☆   そんな『アースダイバー』(中沢新一著)的視点で芝周辺を散策するのも楽しいはずです。
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by na2on | 2010-04-26 00:22 | 公園案内2


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