2010年 04月 28日
林試の森公園 おうちにかえろう。
 武蔵小山は、ものすごく長いアーケードを持った商店街で有名な街だ。

 駅を降りてそのアーケードと反対側に出て少し歩くと、林試の森公園が登場する。

 木々の間に舗装された道が走り、いくつかの広場を持つここは、近所の人たちが運動をする公園としての要素が強い。夕方にでも訪れると、部活の少年少女が走り回りボールを蹴り飛ばし、おじさんおばさんがランニングを続け、子供も負けじと自転車を乗り回す。

 広場のベンチに座って、サッカーの練習などを見ていると、ついつい時間が経ってしまう。小学校に入るか入らないかくらいの子どもたちが、サッカーの練習試合をしている。ボールが転がる方にキーパー含め全員で駆け寄り、とりあえず足を振り、ごろごろと転がったボールにまた全員で駆け寄る。

 指導する若いお兄さんは、めげずに戦術的ポジショニング(といっても「キーパーはゴールの前に戻って!」くらい)を大声で叫ぶが、そのうちひとりぼんやりと地面を見つめていた子にボールが当たって、その子が泣き出すと、ホイッスルを吹いて休憩を告げ、そっとため息をついて駆け寄る。

 夕暮れになって皆が帰り始めるのを見て、ぼくもベンチから離れる。少し先をおじいちゃんおばあちゃんが歩いている。おじいちゃんの背中には女の子がおぶさっている。

「今日はよく遊んだね。もう帰ろう」

 おじいちゃんは背中の孫に語りかける。

「お父さんもお母さんもおうちで待ってるよ」

 一所懸命遊んだのだろう。女の子はうつらうつらとしている。

「早く帰ろう。明日は幼稚園だから」

 おじいちゃんは、低くやわらかな声で語る。横を歩くおばあちゃんも女の子に語りかける。

「早くおうちでみんなでご飯食べよう」

 おじいちゃんとおばあちゃんは、ひとことひとこと、かみしめるように言葉を口にする。眠り始めた女の子にしゃべりかけることで、自分たちに孫がいるということを確かめ合っているかのようだ。

 孫がいるってどんな気持ちなんだろう。そう思いながら歩くぼくの脇を、高校生たちが駆け抜けていく。揃いのTシャツには、高校名と「我が陸上部は最速」と英語で書かれている。

 ぼくも、子どもから少年にかけて、彼らのように近所の公園で、蹴ったり、背中で眠ったり、走ったりしたような気がする。

 公園は、芝生に寝転ぶためだけにあるんじゃなくて、さまざまな物事を執り行うために存在する場所でもある。

 特に若い頃、真剣に何かやっているとき、自然が奇麗とかどうこうってのは、あんまり関係ない。でも、その頃のことを思い出すと、そこには必ず、葉の茂る木々の光景や、草いきれの匂いが伴ってくる。

 みんなこの公園で一所懸命走り回れていいなあ、と思う。この公園は、各年代、ひとりひとりに場を提供し続ける懐の深い公園だ。

 そして、日々を過ごしていって、孫をおぶって住宅街の方へ歩いていったおじいさんたちのように、公園で穏やかな夕暮れを迎え、家に帰ることができれば、それは、とても、嬉しいことだと思う。そうぼくは思うのだ。

 ♣♣♣

林試の森公園(りんしのもりこうえん)
*所在地:目黒区下目黒5丁目、品川区尾山台2丁目
*アクセス:東急目黒線「武蔵小山」下車 徒歩10分

ミシュラン(☆3つが最高)
*ひとり: ☆☆  元林野庁の林業試験場だけあり木々が茂る園内はちょっとした渓谷の趣があります。
*ふたり: ☆☆  目黒駅から歩くのもおすすめ。バスが境内に入ってくる目黒不動のレイドバックぶり!
*おおぜい:☆☆  武蔵小山の商店街も良し。大岡山まで電車に乗って行く洗足池もおすすめ公園です。
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by na2on | 2010-04-28 00:22 | 公園案内2


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