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2010年 04月 29日
公園遊具案内。
 東急の大井町線沿線は名公園が立ち並ぶ。二子玉川から大井町にかけて順に挙げて行くと、五島美術館の日本庭園、等々力渓谷、九品仏、洗足池、戸越公園、そして下神明駅前のタコの滑り台がある公園である。大井町に程近い下神明の駅はぼさっとした感じの小さな駅だが、その駅前の二葉公園にタコの滑り台がある。

 タコの滑り台は、それ専門のサイトがあるくらいで、一部の人には郷愁を誘う遊具らしい。ぼくは、自分が育った近所の公園にはタコの滑り台がなかったので、そういった懐かしさは感じないが、インパクトは大きい。町をぶらぶら歩いていて、突然小さな公園にタコがいると、感動すらする。街中にタコ。この意外性が嬉しいのである。

 ここのタコは親子で、大きなタコの後ろに小ダコがくっついている。以前CMで広末涼子がこのタコと絡んだそうで、そんな華やかな経歴に敬意を表して、タコ代表として紹介させてもらった。ちなみにタコの滑り台を一手に作っている会社の説明によると、もともと芸術家のタマゴが設計したもので、頭がついていないアブストラクトな遊具だったらしい。その後、もう少し子供受けさせようということでタコの頭をつけて、現在のタコの滑り台ができたようだ。東京23区内にも北東部を中心にまだ結構残っている。

 遊具で感動する物件は他にもあるが、王子の飛鳥山公園の遊具は極めてレベルが高かったと思う。スーパーリアリスティックな象のライドや、巨大なお城の形をした滑り台は、ほぼ無意味とすら思える情熱的かつ正確なデッサンによって作り上げられ、時間によって貫禄をつけて、他を寄せ付けないレベルにまで行きついてしまっていた。現在改装されて、随分イメージが変わってしまったのが残念でもある。

 遊具というよりシチュエーションで味わい深いのが、赤羽の西側の高台に広がる赤羽台団地と桐ヶ丘団地の小公園群である。UFO公園、お化け公園といった奇天烈な名前を持つ公園には、コンクリートを練り固めた奇天烈なオブジェが置かれ、その脇に団地がのっそりと立っている(ちなみにシーソー公園というのもあるんだが、そこにはシーソーがない)。その時空が捻じ曲がったような空間にいると本当に時間が経つのを忘れてしまう。

 そして、遊具のメッカとしてその筋に(どの筋だ?)名高いのが西六郷公園である。住宅街に設けられたごく普通の児童公園が何故に有名なのか、ということは、行けばすぐにわかる。

 公園中にタイヤがばらまかれているのである。ブリヂストンとかミシュランとかダンロップが砂場に置かれ、更にタイヤで造ったロボットとか恐竜がそびえ立つ。ロボットはビバンダム君にも似ていて、スポンサーとか大人の事情を考える向きもあるだろうが、多分そんな事情はない。こうなっちまった理由は不明だ。

 インパクト大なヴィジュアルが展開されてはいるものの、ここは、昼間は子どもたちが遊び回り、夜のとばりが降りてくる頃は、高校生のカップルが、ベンチに座ったりもするごく普通の街の公園だ。

 でも、全国共通の甘酸っぱい光景の背後に、月明かりに照らされたタイヤの恐竜がたたずむ絵は、なかなかにシュールではある。特によそから来た人間にとっては。

 そんな西六郷公園の最寄り駅は、京浜急行の雑色駅か、JR、東急の蒲田駅である。雑色駅前には、京浜急行の他の駅と共通するゆるやかな空気の商店街が続く。特にものすごい名店があるわけでもなさそうだが、ごく普通の姿で各店舗がたたずんでいるところがいい。

by na2on | 2010-04-29 06:33 | よりみち。


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