2010年 05月 01日
羽根木公園 当たり前のように。
 羽根木公園は、典型的な街の公園と言えるでしょう。

 それほど広くもない園内には梅林が広がり、テニスコートなどが揃えられ、奥には子供が遊べるプレーパークがある、つまり街の公園が備えるべき何かが一通り揃っています。

 公園の一角には茶室があります。そのひとつ日月庵はある棟梁の遺作です。明治神宮再建の際、実質的なトップを務めたその人は、数寄屋大工という職種上、あまり一般に名を知られることはなかったのですが、大工を始めとする職人衆の間では、その圧倒的な技術の高さで知られ、尊敬を集めていました。

 茶室と反対側の一角には、ここが日本第1号となるプレーパークがあります。ヨーロッパで子供たちが自分の責任で自由に遊ぶ場所として作られたプレーパークは、日本にも普及し、現在東京の各所で開催されています。

 そのオリジンたるここの、丸太や遊具が置かれた広場で、子供たちは、思っていたよりも嬉しそうにプレーリーダーの後にくっついて飛び回っています。同時に、よく見ていると、仲間と離れて一心に地面を見つめている子や、自分の格好いい姿を写真におさめろと大人に頼み込む子もいたりして、結構好き勝手にやっているようです。

 ここは、気の利いたものが、当たり前のようにあります。

 日月庵は必要以上にその存在を誇示することなく淡々とした、たたずまいです。よく見るとアルミサッシなんかも使われています。純粋な数寄屋造りでは維持に手間がかかりすぎると考えてのことと思います。棟梁は役に立つと考えたら、現代の技術も率先して使用したそうです。

 一方、プレーパークは一見ヒッピーの巣と見紛うような外見です。それもそうでここの遊具はすべて手作りで、いつ行っても子供が土にまみれて遊びまわっています。ここは地域のボランティアなどによって、ほぼ毎日開園されているのです。なかなか難しいことだと思います。

 一流のものは、その存在を誇示しないといいます。例えば靴だったらいい靴だなあと思わせるんじゃなくて、靴を履いていることを感じさせないような靴が一流品。公園を歩き回って疲れない靴って実際なかなかないです。

 この公園は、滅多に出会えない「品の良さ」を持っています。いいものが、これ見よがしでなく存在する。だから背伸びしないで楽しむことができる気がします。

 梅が八分咲きの時に行ったら木の下にいろんな人がいました。前日までの曇り空と打って変わって晴れたこともあって、保育園の園児と先生、障害者とその付き添い、親子連れ、そしてカップル、といった人たちが穏やかな午前を過ごしていました。

 梅が名物のこの公園が1年中で最もお洒落をした時、奇麗だろうねと集まってくるような人々は、自分たちの生活の中にこの公園を当たり前のように組み込んでいるようです。そんな人たちが、一番この公園の価値を理解しているのだと思います。

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羽根木公園(はねぎこうえん)
*所在地:世田谷区代田4−38−52
*アクセス:小田急「梅が丘」下車 徒歩5分/井の頭線「東松原」下車 徒歩7分、他。

ミシュラン(☆3つが最高)
*ひとり: ☆   梅が丘の周辺はのんびりした世田谷の住宅街。近くにはモッズスタイルのスーツの仕立屋さんも。
*ふたり: ☆☆  少し足を伸ばせば、豪徳寺(山下)の商店街。そのまま世田谷線に乗って散策も楽しいでしょう。
*おおぜい:☆☆  子供連れならプレーパークで遊ぶのも良し。専門家とも言うべきプレーリーダーがいて安心です。
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by na2on | 2010-05-01 05:12 | 公園案内2


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