2011年 01月 11日
雑誌『nico』で連載を開始しました。
『nico』という雑誌で「公園の風景」と題した連載が始まりました。
写真と詩で、東京の公園を紹介していく、というコンセプトです。

ぼくは、詩を担当しています。

書店などで手にとってもらえたら、とても嬉しいです。
http://www.quint-j.co.jp/web/magazine/

初回は「駒沢公園」。
テーマは「はじまり」。

♣♣♣

旅に出なければならないときが来た。
肩に力を入れて、彼は、自分に言い聞かせます。

少し前に、彼のこころは大きく揺れました。
彼は、決断したのです。
まだ、その時の揺れが、残っているようだ。
そう思った彼は、ひとりで、歩きたかったのです。

時間はたくさんあるように感じました。

そこで、彼は、一冊の本を託します。
ホールデン少年言うところの
「読み終わったら作者に電話をかけたくなる」。
そんな、本を読みながら、彼女は、待ち続けます。

旅は、再生の始まり。
彼は、歩きます。一所懸命。

でも、待つことは、喪失の始まり。
そこなわれたものは、もう二度と、取り戻せません。

彼女は、彼なんかより、ずーっと、ずっと、分かっています。
今、何がしたいのか、まっすぐに考えています。
「ねえ、そろそろ会いたいんだけど。本ももうすぐ読み終わるし」
彼は旅から戻る時が来ていることに、ようやく気づきます。

そして、大きな日時計のある、公園で、ふたりは、再開します。

日時計に埋め込まれた、小さなステンドグラスのひとつひとつ。
それらが、陽の光を浴びて、きらきらと光ります。

「ああ、この景色は確かに見たことがあるぞ」
彼は、そう思ったけど、口に出さずに、照れたような笑い顔で彼女をみます。
彼女は、ぱたん、と本を閉じて、手渡します。

「面白かった」
「他のも貸そうか」
「もういいよ」

ほんと、とんちんかんだ。
そう思ったけど、口に出さずに、彼女は、にこりと笑いました。

そこから、ほんとうの話が始まります。

♣♣♣

1年間、連載は続く予定です。
どうぞ、よろしく。
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by na2on | 2011-01-11 01:00 | 連載「公園の風景」


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