2012年 01月 03日
ひとめぐりしました。 12回をもって、雑誌”nico”の「公園の風景」、連載終了です。 最後の詩は、ぼくにとって、はじまりのうたを掲載しました。 ♣♣♣ 母海 はるかあなた山のむこう きみのすきな花が咲く いつかたどりついた丘 あれた海の夢を見る かさねた嘘は風に舞い 悲しい思い出も今はない どこかで聞いたかすかな鼓動 私をとりこみうねりだす いつか鳥はみな眠り しげる草木は枯れ絶える 町の記憶は消え去って なにが私を立ち止める きみは、今もかえりつづけ 私は今、そこにいる きみがかえるその日まで 私はただ、そこに待つ ♣♣♣ 原型は、あるひとと、冬の熊野の山中を歩いて、帰って来てから書きあげた詩です。 歩き疲れた夕暮れ時、そのひとと少し距離をおいて休憩したときに、 ぼくは確かに大地からの鼓動を聞いたように感じました。 その鼓動は耳を澄ますと、東京でも聞くことができました。 夜中の明治通り、昼間の青山墓地、夕暮れの浜離宮。 そして、そのひとと暮らしはじめた地にある、公園。 川に沿って作られた公園を、そのひととなんども歩きました。 つないだ手を通して彼女の鼓動が伝わってくるたび、ぼくはどきどきしました。 ひとに触れることは、そのひとの気持ちに触れることだ、と思いました。 こどもが産まれてからは、三人で公園に行きました。 こどもは、みどりの草の上をはいはいし、やがて歩き、走り出しました。 この子は、確かに、冬の熊野で、ぼくたちを見おろしていたように感じました。 ものがたりは、続きます。 断片がつなぎあわさり、家族のお話がつむがれていく。 そのさまは、ちいさな町が、多色刷りのようにかさなりあってできた、 東京みたいです。 公園をテーマに詩を書くなんて、とても楽しい経験でした。 だから、ちょっと味をしめています。 今度は、友人の写真家と、連作を作って行くつもりです。 テーマは「東京」。 いつになるかな。わからない。でも、キットやります。
by na2on
| 2012-01-03 23:25
| 連載「公園の風景」
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