カテゴリ:公園案内2( 12 )

2010年 04月 24日
新宿御苑 「御苑と私」
 ワビサビとか、風流とかそういったものを面白がってつらつらと公園を見て回っているが、新宿御苑は、微妙な差異を意に介さない圧倒的な実力を持っている。いわば、キング・オブ・シティパークだ。

 園内に適切に配置された木々は、品良く並んで、品のいい花や実を結ぶ。池はそんな木々の枝と空の雲を映しこみ、芝生は青々と広がる。しかも園内は広い。常に人々が集っているが、花見などの特殊な時期を除いて、余裕を持って気ままに座ったり、遊ぶことができる。

 丁寧に手をかけられている園内の自然は、大きな逸脱なく、木々はきちんと並んで人々を迎え入れる。その向こうに新宿のビル街、ずっと遠くには東京タワーも見える景色は、東京の最も美しい表情のひとつとなるだろう。ニューヨークのセントラルパークなんかもこんな雰囲気なのだろうか。西洋風のシティパークのひとつの極みである。

 ひろびろとした芝生と美しい木立はもとより、イギリス式、フランス式、という西洋式庭園の二大流派の本格的な庭園を備えてもいる。そして西洋式ばかりではなく、一方で、日本庭園もちゃんとある。和洋取り揃えた奥行きの深さ。さらにゴミが少なく、トイレも基本的に清潔だ。ひとりで行っても、ふたりで行っても、大勢で行っても、1日楽しめる。はっきり言ってアリのはいでる隙間もないくらいの磐石なオトナの公園道を貫いている。

 トラディショナルという言葉が頭に浮かぶ。コンサバティブという言葉も浮かぶ。ついそういうものを茶化したくもなりもするのが、人の常、いやはっきり言えばぼくの習癖ではあるが、足しげくここに通っているうちに、そんな気分は抜けて、この公園の醸し出す雰囲気に身を委ねる心地よさを味わうことになる。毒気を抜かれた格好だ。

 素直になったぼくは、思う。新宿御苑があるからこそ、東京の他の公園を心ゆくまで楽しめているのかもしれない、と。

 ここにはぼくが思っている都市の公園が備えるべき要素が大体揃っている。それらは好みを超越した一般性を持った要素だ。だから、他の公園が御苑に比べて、どこが足りないのか、とか味わい深さを持っているのか、がその公園を評価する大きな基準となり得るのだ。

 逸脱の面白さは、常識とか伝統とか、王道があるから生まれてくる。逆に言えば王道がなければ逸脱は存在できない。逸脱は常識になったらカッコ悪いが、王道は常識を超越している。

 パンクやアナーキーもカッコいいが、無理やり続けたらくたばってしまう。それでもカッコよくそれらを続けている人は、意外と正統とかを良く勉強したりしているのである。

 常識的に考えると、自分の基準を持って行動できる人がカッコいい。世間から見て逸脱していても、彼らの基準は必ず今までにあったもの、あるものの中から自分で取捨選択して作り上げられている。それがいつしか人々を納得させ「道」ができる。

 そして公園の王道として、新宿御苑が存在するのである。

 昔ここで焚き火をしようとしたりして(未遂です)、無頼を気取っていたぼくは、深い反省とともにこの一文を書きました。

 ♣♣♣

新宿御苑(しんじゅくぎょえん)
*所在地:新宿区内藤町11 TEL03-3350-0151(環境省新宿御苑管理事務所)
*開園時間:9:00〜16:30(入園は16:00まで)
*休園日:月曜日(月曜日が祝祭日の場合は翌日)、年末年始(12月29日〜1月3日)*月曜日も開園の時期もあり。
*入園料:大人(15歳以上)200円、小中学生50円、他。
*アクセス:JR・京王・小田急線「新宿」下車 徒歩10分/地下鉄副都心線・新宿線「新宿三丁目」下車 徒歩5分/地下鉄丸ノ内線「新宿御苑」下車 徒歩5分/JR「千駄ヶ谷」下車 徒歩5分、地下鉄大江戸線「国立競技場」下車 徒歩5分、他。

ミシュラン(☆3つが最高)
*ひとり: ☆   近接する高島屋の入っているビルのテラスから御苑が一望できます。隠れた名所です。
*ふたり: ☆☆☆ ハンカチの木というロマンチックな名称の大木を見たりしながら穏やかに過ごせます。
*おおぜい:☆☆☆ 家族、友人と連れ立って花見やピクニックを楽しめます。追分団子を買うのがおすすめ。
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by na2on | 2010-04-24 23:27 | 公園案内2
2010年 04月 23日
荒川自然公園 都電に乗って。
 荒川区は、鮮烈な下町テイストを持った町を抱える区だ。日暮里の駄菓子問屋街は再開発で消えてしまったが、それでもなお、いい具合の風景が数多く残っている。そんな区の真ん中を横切っているのが、都電荒川線だ。

 終点の三ノ輪橋を降りると古めかしい商店が立ち並んだアーケード街だ。鰻の蒲焼やヌカ味噌の匂いが立ちこめ、その横にアッパッパ的な商品をぶら下げた服屋があっておばちゃんたちで混みあっている。

 ここら辺は昔から裁ちばさみや和竿など和物関係の職人が数多く住む町で、今も数こそ少なくなったが、それぞれの分野で一流と称される職人たちが残っている。彼らは、昔からの手作業の精度を上げ、更に商品を現代の需要に合わせるべく試行錯誤を繰り返して、現在の地位を築き上げている。

「手作りって懐かしいよね~」という見世物めいた世間の見方には笑って応えながら、そこから遠く離れたレベルでしたたかに生き残っているのだ。そんな町の商店街に、蒲焼屋が多いのは、手っ取り早く精を付けたい職人が、漬物を売るお店が多いのは、職人である亭主の仕事を手伝いながら家族のご飯を手早く作らなきゃならないオカミさんが数多くいた名残かもしれない。

 荒川自然公園は、三ノ輪橋から少し戻った荒川二丁目駅を降りてすぐの所にある。自然公園と銘打っているが、三河島水再生センターという下水処理場の上に作られた公園である。貯水池の上に作られた公園は23区内に数多くあるが、白鳥が休む池もある人工地盤とは思えない風情や、お年寄りから子供まで集うにぎやかさ、そして三ノ輪商店街をそばに控えた立地を含めて、ここの魅力は頭一つ抜け出しているような気がする。

 駅からだらだら坂を登ったところに池のある庭園があり、そこにはお年寄りなぞが静かにベンチでなごんだりしている。その先へ行くと遊具が並ぶ児童遊園が、そして奥には交通園があり、都電の踏切の音をややマイルドにしたニセ踏切がせわしなく上下する中を地元の子供たちが(足こぎ式)ゴーカートで爆走している。その傍らのベンチでスケッチブックを広げるおじさんなんぞもいて、この公園の年齢層は幅広い。

 ここいらは下町なんて言いながらも、川向こうには巨大なマンションが並ぶ。この公園は長い歴史を持つ町並みの中では新しく出来た部類に入るだろう。集っている人たちも、昔からの家の人と、新しいマンションに住む人が混ざっているようだが、それぞれが適当に遊んでいる。要するに、この公園は新旧でうまいこと融合している場所だ。

 元からここに住む人たちは、変化する町並みについて聞かれたら「昔の風情がなくなって」なんて相手が喜びそうなことを言いながら、本当はそんな変化を楽しんでいるんじゃないかとさえ思う。

 職人さんじゃないけど、東京に古くから根付いている人たちは、したたかで、柔軟で、格好いい。

 ♣♣♣

荒川自然公園(あらかわしぜんこうえん)
*所在地:荒川区荒川8-25-3 TEL03-3803-4042(公園管理事務所)
*開園時間:6:00~19:00(5月~9月)、7:00~19:00(3月~4月、10月~11月)、7:00~17:00(12月~2月)
*休園日:毎週月曜日、12月29日~1月3日
*アクセス:都電荒川二丁目駅下車すぐ。

ミシュラン(☆3つが最高)
*ひとり: ☆☆  定番ですが、都電沿線は散策するにはもってこい。この公園で夕暮れを眺めるなんて乙です。
*ふたり: ☆   この空中庭園を歩くカップルをモデルに気の利いた恋愛小説ができそうな感じではあります。
*おおぜい:☆☆  家族で、あるいは家族同士で遊ぶには最適。都電沿線なら尾久の原公園も広くておすすめです。
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by na2on | 2010-04-23 21:10 | 公園案内2