<   2010年 04月 ( 23 )   > この月の画像一覧

2010年 04月 30日
日比谷公園 風に吹かれて。
 ここは東京で初めて出来た公園である。

 明治に入って、日本に西洋の文化がものすごい勢いで入ってきたことに呼応して、都心に公園を作る運びとなった。その場所として選定されたのが、皇居にほど近い日比谷であり、いち早く西洋文化を自らのものとした設計家が西洋庭園をベースとした図面を引いた。

 当時の企画書には、その設立趣旨として、庶民の休日の遊びは寄席に行くぐらいで西洋に比べてすごくみっともない。西洋人みたいに戸外で活発に運動して体格を良くするべきで、庶民レベルからそういうことをしとかないと西洋人に馬鹿にされてしまう、という意味のことが書かれてある。

 早い話、西洋人は背が高くてカッコ良くて、それに比べて自分たちのことがすごくカッコ悪いと思いこんで、慌ててあちら風の庭園を造ってしまったのである。田舎者が表参道とか代官山に行って雑誌で調べたお店で恐る恐る洋服一式を買うようなノリだ(ごめんね明治政府)。

 まあ、田舎者だったら、後年になって、いやー恥ずかしかったで笑えるが、自らを否定するかのごとく急速に欧米化を進めたあげく、今度は彼らと戦争まで始めてしまった国家の話となると、ちょっと笑えない。

 現在の日比谷公園には、長方形の園内のあちこちにサラリーマンをはじめとする人々が集っている。一角の野外大音楽堂にコンサートで行った人も多いだろう。夏の夜にここでお気に入りの音楽を聞くのは、まさに至福の時間だ。

 この小体の公園は、慌てて造ったにも関わらず、しっかりとした設計がなされている。明治から平成にかけての長い時間に洗われ、時代の風に吹かれることで、その素性の良さが際立ってきているような気がする。明治期の人々の情熱の深さと努力ぶり、そしてセンスの良さは、歴代の日本の歴史の中でもかなり突出していたのではなかろうか。

 もう一度、そんな明治期に戻る。立派な意義もあり是非公園を造ろうとなったが、当局の頭を悩ませる問題があった。人々が集会をする格好の場所を提供することになるのだ。いつの世でも為政者たちは民衆が集まって決起するのを警戒する。公園には交番が設けられることとなった。

 これは予防という面だけではなく、集会しやすい場所であることを逆手に取って、集合した人々をこの交番でチェックして、要注意人物としてマークするという目的もあったそうだ。

 以前、あるデモに参加しようと集合場所の日比谷公園へと赴いた。冷たい風の吹きすさぶ真冬の公園に着くと、ものすごい数の人がいて、彼らは全員デモ参加者だった。

 ぼくの傍らではゼンキョウトウ的な現役の学生たちがひとりひとり「ワレワレハァ」と宇宙人が地球に来訪したときみたいな喋り方で、恥ずかしそうに演説していた。それを見ながら笑いつつ、ネットで同時中継をしようとしていた若者は、結局その放送がうまく行かないことをかかってきた電話で告げられしょんぼりしていた。どうやら人数は多いけど、人々のデモにかける思いの温度差は大きそうだった。

 そんなでこぼこの人々の行進はしかし、公園から外に出たところでしっかり公安の方々のビデオに記録された。当局の目論み通りである。

 季節はずれの屋台を出していたおっちゃんは、予想を遥かに超えた人出にゴキゲンだった。

「デモってすげえ人が集まるんだねえ」と彼は感心しながらワンカップを手渡した。「寒いから、体の中からあっためてさ、まあがんばんな」

「うん。よくわからんけどがんばるわ」とぼくが言ったらおっちゃんはニカッと笑った。

 ♣♣♣

日比谷公園(ひびやこうえん)
*所在地:千代田区日比谷公園
*アクセス:地下鉄丸の内線・千代田線「霞ヶ関」下車 徒歩2分/地下鉄日比谷線「日比谷」下車 徒歩2分/JR「有楽町」下車 徒歩8分。

ミシュラン(☆3つが最高)
*ひとり: ☆☆  ここは素敵な施設の多い公園でもあります。まず、北端にあるオープンカフェ。ここで飲むビアーはおいしいです。
*ふたり: ☆☆  そして真ん中にある松本楼。銀座の街角から移植した大木を見つつコーヒーを飲むひとときは最高に気持ちいいです。
*おおぜい:☆☆  最後に野音(大音楽堂)。夏の夕暮れに音楽をここで聞く至福と言ったら! ガーデンウェディングもできるそうです。
[PR]

by na2on | 2010-04-30 22:54 | 公園案内2
2010年 04月 29日
公園遊具案内。
 東急の大井町線沿線は名公園が立ち並ぶ。二子玉川から大井町にかけて順に挙げて行くと、五島美術館の日本庭園、等々力渓谷、九品仏、洗足池、戸越公園、そして下神明駅前のタコの滑り台がある公園である。大井町に程近い下神明の駅はぼさっとした感じの小さな駅だが、その駅前の二葉公園にタコの滑り台がある。

 タコの滑り台は、それ専門のサイトがあるくらいで、一部の人には郷愁を誘う遊具らしい。ぼくは、自分が育った近所の公園にはタコの滑り台がなかったので、そういった懐かしさは感じないが、インパクトは大きい。町をぶらぶら歩いていて、突然小さな公園にタコがいると、感動すらする。街中にタコ。この意外性が嬉しいのである。

 ここのタコは親子で、大きなタコの後ろに小ダコがくっついている。以前CMで広末涼子がこのタコと絡んだそうで、そんな華やかな経歴に敬意を表して、タコ代表として紹介させてもらった。ちなみにタコの滑り台を一手に作っている会社の説明によると、もともと芸術家のタマゴが設計したもので、頭がついていないアブストラクトな遊具だったらしい。その後、もう少し子供受けさせようということでタコの頭をつけて、現在のタコの滑り台ができたようだ。東京23区内にも北東部を中心にまだ結構残っている。

 遊具で感動する物件は他にもあるが、王子の飛鳥山公園の遊具は極めてレベルが高かったと思う。スーパーリアリスティックな象のライドや、巨大なお城の形をした滑り台は、ほぼ無意味とすら思える情熱的かつ正確なデッサンによって作り上げられ、時間によって貫禄をつけて、他を寄せ付けないレベルにまで行きついてしまっていた。現在改装されて、随分イメージが変わってしまったのが残念でもある。

 遊具というよりシチュエーションで味わい深いのが、赤羽の西側の高台に広がる赤羽台団地と桐ヶ丘団地の小公園群である。UFO公園、お化け公園といった奇天烈な名前を持つ公園には、コンクリートを練り固めた奇天烈なオブジェが置かれ、その脇に団地がのっそりと立っている(ちなみにシーソー公園というのもあるんだが、そこにはシーソーがない)。その時空が捻じ曲がったような空間にいると本当に時間が経つのを忘れてしまう。

 そして、遊具のメッカとしてその筋に(どの筋だ?)名高いのが西六郷公園である。住宅街に設けられたごく普通の児童公園が何故に有名なのか、ということは、行けばすぐにわかる。

 公園中にタイヤがばらまかれているのである。ブリヂストンとかミシュランとかダンロップが砂場に置かれ、更にタイヤで造ったロボットとか恐竜がそびえ立つ。ロボットはビバンダム君にも似ていて、スポンサーとか大人の事情を考える向きもあるだろうが、多分そんな事情はない。こうなっちまった理由は不明だ。

 インパクト大なヴィジュアルが展開されてはいるものの、ここは、昼間は子どもたちが遊び回り、夜のとばりが降りてくる頃は、高校生のカップルが、ベンチに座ったりもするごく普通の街の公園だ。

 でも、全国共通の甘酸っぱい光景の背後に、月明かりに照らされたタイヤの恐竜がたたずむ絵は、なかなかにシュールではある。特によそから来た人間にとっては。

 そんな西六郷公園の最寄り駅は、京浜急行の雑色駅か、JR、東急の蒲田駅である。雑色駅前には、京浜急行の他の駅と共通するゆるやかな空気の商店街が続く。特にものすごい名店があるわけでもなさそうだが、ごく普通の姿で各店舗がたたずんでいるところがいい。
[PR]

by na2on | 2010-04-29 06:33 | よりみち。
2010年 04月 28日
林試の森公園 おうちにかえろう。
 武蔵小山は、ものすごく長いアーケードを持った商店街で有名な街だ。

 駅を降りてそのアーケードと反対側に出て少し歩くと、林試の森公園が登場する。

 木々の間に舗装された道が走り、いくつかの広場を持つここは、近所の人たちが運動をする公園としての要素が強い。夕方にでも訪れると、部活の少年少女が走り回りボールを蹴り飛ばし、おじさんおばさんがランニングを続け、子供も負けじと自転車を乗り回す。

 広場のベンチに座って、サッカーの練習などを見ていると、ついつい時間が経ってしまう。小学校に入るか入らないかくらいの子どもたちが、サッカーの練習試合をしている。ボールが転がる方にキーパー含め全員で駆け寄り、とりあえず足を振り、ごろごろと転がったボールにまた全員で駆け寄る。

 指導する若いお兄さんは、めげずに戦術的ポジショニング(といっても「キーパーはゴールの前に戻って!」くらい)を大声で叫ぶが、そのうちひとりぼんやりと地面を見つめていた子にボールが当たって、その子が泣き出すと、ホイッスルを吹いて休憩を告げ、そっとため息をついて駆け寄る。

 夕暮れになって皆が帰り始めるのを見て、ぼくもベンチから離れる。少し先をおじいちゃんおばあちゃんが歩いている。おじいちゃんの背中には女の子がおぶさっている。

「今日はよく遊んだね。もう帰ろう」

 おじいちゃんは背中の孫に語りかける。

「お父さんもお母さんもおうちで待ってるよ」

 一所懸命遊んだのだろう。女の子はうつらうつらとしている。

「早く帰ろう。明日は幼稚園だから」

 おじいちゃんは、低くやわらかな声で語る。横を歩くおばあちゃんも女の子に語りかける。

「早くおうちでみんなでご飯食べよう」

 おじいちゃんとおばあちゃんは、ひとことひとこと、かみしめるように言葉を口にする。眠り始めた女の子にしゃべりかけることで、自分たちに孫がいるということを確かめ合っているかのようだ。

 孫がいるってどんな気持ちなんだろう。そう思いながら歩くぼくの脇を、高校生たちが駆け抜けていく。揃いのTシャツには、高校名と「我が陸上部は最速」と英語で書かれている。

 ぼくも、子どもから少年にかけて、彼らのように近所の公園で、蹴ったり、背中で眠ったり、走ったりしたような気がする。

 公園は、芝生に寝転ぶためだけにあるんじゃなくて、さまざまな物事を執り行うために存在する場所でもある。

 特に若い頃、真剣に何かやっているとき、自然が奇麗とかどうこうってのは、あんまり関係ない。でも、その頃のことを思い出すと、そこには必ず、葉の茂る木々の光景や、草いきれの匂いが伴ってくる。

 みんなこの公園で一所懸命走り回れていいなあ、と思う。この公園は、各年代、ひとりひとりに場を提供し続ける懐の深い公園だ。

 そして、日々を過ごしていって、孫をおぶって住宅街の方へ歩いていったおじいさんたちのように、公園で穏やかな夕暮れを迎え、家に帰ることができれば、それは、とても、嬉しいことだと思う。そうぼくは思うのだ。

 ♣♣♣

林試の森公園(りんしのもりこうえん)
*所在地:目黒区下目黒5丁目、品川区尾山台2丁目
*アクセス:東急目黒線「武蔵小山」下車 徒歩10分

ミシュラン(☆3つが最高)
*ひとり: ☆☆  元林野庁の林業試験場だけあり木々が茂る園内はちょっとした渓谷の趣があります。
*ふたり: ☆☆  目黒駅から歩くのもおすすめ。バスが境内に入ってくる目黒不動のレイドバックぶり!
*おおぜい:☆☆  武蔵小山の商店街も良し。大岡山まで電車に乗って行く洗足池もおすすめ公園です。
[PR]

by na2on | 2010-04-28 00:22 | 公園案内2
2010年 04月 27日
桐ヶ丘・赤羽台団地内公園 凍れる瞬間。
 赤羽の東の台地に広がる桐ヶ丘団地は国内最初の団地として作られた。団地のパイオニアは現在、住民の高齢化が進んでいるようで、昼間、広大な団地は静まり、無表情な建物がそこここに立ち並ぶ。

 歩き回ると、所々に銭湯の廃墟や子供用の手打ちパチンコ台が置かれた商店街が忽然と現れる。団地内の桐ヶ丘中央公園にはお年寄りが集って日向ぼっこをしている。その傍らでピカピカの建物が建ち始めている。団地のリニューアルが始まっているのだ。

 桐ヶ丘の手前にある赤羽台団地もまた十分に風格のある巨大な団地だ。子供の姿は比較的多いが、団地内のあちこちにある公園で見ることは少ないような気がする。

 UFO公園、お化け公園と名づけられた小公園には、言われてみれば確かにそう見えなくもない、面妖なコンクリートのオブジェが置かれ、動物公園と名づけられた公園には動物の形をしたライドが多数置かれる。しかしシーソー公園と名づけられた公園にはシーソーは置かれておらず、廃車のバイクが1台、その代わりに放置されていた。

 山川方夫の短編で、団地に住んでいる新婚夫婦が夜ことを致した後に妻がトイレに行って水を流すと、他の部屋からも同じようにトイレの水を流す音が聞こえてくるという話がある。

 同じような家庭がぎっしりと入っている団地で、皆が同じような生活をしている不気味さを描いたものだ。ある人はそれを「凍れる瞬間」と呼んだ。ふと周りを見渡した時に感じるひやりとした不気味さ。それは、どこか狂気とつながるような気がする。

 小さな頃ぼくも高層団地に住んでいた。似たような家族が大勢住むその団地のぼくの部屋の前の廊下からは、以前、飛び降り自殺をした人がいるという話だった。その廊下に面した窓から毎日ぼくは外を見ていた。遠くに山が見えた。あの山の向こうに行きたい、とよく思っていた。

 山の向こうにはどんな街があって、人口はどれくらいでといったことは知っていた。でも、そこには実際に行かないと判らない何かがあって、ぼくは今とは違うその何かを味わいたいと願っていた。

 ぼくが子供の時ヘビーユーズしていた公園は、当然のごとく団地の脇にある小さな公園だった。子供にとっては社交場であり、いろんな面白いことや時には腹が立ったり悲しいことが起こる魅惑的なスペースだった。

 山のずっと向こうにある東京に来て随分になった今、赤羽台の小さな公園に立ってその頃のことを思い出す。ずらりと並んだ動物のライドは、墓場のようにも見える。ぼくは、街や公園を通じて、小さい頃に感じていた何かを味わいたいのだと思う。でも、この公園に立つと、ぼくは結局、どこへも行っていないと感じる。ただ、時間が経っていくだけだ。

 周りを見渡すと人気の薄い団地が立ち並ぶ。ここにはかつてたくさんの人々が住んで、生活を営んでいた。そして、無機質なコンクリートの塊が残った。

 ずらりと並ぶ窓のひとつに、老婆が、すっと横切った気がした。でも、いくら目をこらしても、そこには誰もいなかった。

 ♣♣♣

桐ヶ丘団地/赤羽台団地(きりがおかだんち/あかばねだいだんち)
*所在地:東京都北区桐ヶ丘、赤羽台周辺。
*アクセス:JR赤羽駅、北赤羽駅、都営地下鉄三田線本蓮沼駅、志村坂上駅が最寄り駅。団地内に赤羽駅発のバスも多数走っている。

ミシュラン(☆3つが最高)
*ひとり: ☆☆  無理矢理見れば2001年宇宙の旅風なコンクリートの遊具類は、その筋には有名。散策向き。
*ふたり: ☆   ‘70年代で時間が止まったままのような商店街も、その筋には有名。ふたり散策も楽しいかも。
*おおぜい:☆   同好の士で赴いた後、赤羽駅周辺のブルージーな飲食店で一杯ってのも、楽しいと思います。
[PR]

by na2on | 2010-04-27 00:21 | 公園案内2
2010年 04月 26日
芝公園 「おさぼりさま」の楽園。
「この公園はすごく思い入れがある」

 とある人が言った。その人は有能かつ魅力的な女性なのだが、この公園の近所にある会社に勤めていたとき、よくここへサボりに来ていたそうだ。どうも会社勤めに向いていないことが判ってきて、わりと鬱々とした日々を過ごしていた彼女は、忙しい仕事の合間を縫って足しげく通っていた。その時の緑の具合とか、すごくよく覚えているという。そして自分にとって東京の公園と言えば、ここだ、と強調するのである。

 ぼくはこの公園のあんまり熱心な愛好家じゃない。良く知られた公園の割には今ひとつ掴みどころのないところ、くらいの印象だ。

 正直に言って、全体を歩きまわるというよりは、車で傍を走っているときに見るとか、たまたま入った入り口周辺のベンチに座って、というような使い方をされる公園だと思う。多分、彼女も芝公園の全貌を見たことはないと思う。聞いていないけど。

 にも関わらず、いい公園なのだ。

 多分、誰にでも足を良く向ける公園はあるんだと思う。例えばぼくの勤め先の傍にあった小さな公園は、特に目を引くようなものは何もないむしろ居心地悪い所だったが、会社にいるよりはずっといいので、実にしばしばサボりに行った。春に花が咲き、新緑になり、やがて紅葉して、という季節の流れもなんとか感じ取ることもできた。ムシャクシャしたり、痺れている時、ごくマレにすごく嬉しい時に見た木々の様子をその時の気分と共に鮮明に思い出すことができる。当然個人的には、思い入れのある公園と言える。

 そういった勤め先のそばにあって足をつい運ぶ公園があって、みどりがあると、ほっとした気分になるのは、もう、これはどうしようもなく当たり前のことだ。そういったとりあえずのひと休み、有り体に言えばサボりに利用される公園、いわば「おさぼりさまの公園」が、木々がうっそうと茂る中に、ベンチが点在するところだったら、なおのこといい。

 どんなときだって、公園で味わうほっとした気分はかけがえがない。そして、日常所属している場所からひととき開放される公園は、いかなる個人的な心持ちも受け入れ、内側に入ることを許してくれる懐の深さがある。

 そのひとつの代表が、芝公園。ここは都心の貴重な休息の地だ。見ればおさぼりさまがそこここに。ああいいなあ。この公園の近くの会社に勤めようか。なんて。

 ♣♣♣

芝公園(しばこうえん)
*所在地:港区芝公園
*アクセス:JR・東京モノレール「浜松町」下車 徒歩12分/地下鉄三田線「芝公園」もしくは「御成門」下車 徒歩2分/地下鉄浅草線・大江戸線「大門」下車 徒歩5分、等。

ミシュラン(☆3つが最高)
*ひとり: ☆☆  そこここに置かれたベンチで過ごす平日午後のひととき、みどり濃い芝公園は最適かも。
*ふたり: ☆   古墳の上に作られた芝公園は隣接する東京タワー等と共にかつては岬の突端だったそう。
*おおぜい:☆   そんな『アースダイバー』(中沢新一著)的視点で芝周辺を散策するのも楽しいはずです。
[PR]

by na2on | 2010-04-26 00:22 | 公園案内2
2010年 04月 25日
大島小松川公園 東の空、東のみどり。
 気の利いた芝生って、つまりこんな感じじゃないだろうか。

 この公園に来るとそう感じます。

 大島小松川公園は都営地下鉄新宿線の東大島駅を降りてすぐのところに広がっています。駅前に立ち並ぶ団地群の中を通り抜けて行く方が近道です。

 しかし、できれば荒川の河川敷に上がっていくことを、もし、天気がいい日ならば、荒川と中川を渡った次の駅、船堀駅で降りて江戸川競艇場を右手に見ながら船堀橋を渡っていくことをおすすめします。

 広々とした川を眺めながら歩く道は、それだけでも足を運んできた価値があると言っても過言ではないこの公園へのアプローチです。

 そしてこの大島小松川公園は、そんな景色にも負けないだけの地力を持った公園です。

 春には桜が咲き乱れる土手から公園に入ると、一面の芝生が広がります。

 隅の方には、バーベキューが出来る水場と、遊具がありますが、メインの広場には何もありません。芝生があるだけです。余計なものは一切ありません。

 周りは、様々な形状の中・高層の団地に取り囲まれています。ある意味、とても東京的な背景かもしれません。

「東京的」というのは、この場合住みにくいことを意味します。実際、この公園も高層団地が立ち並ぶ中にやむなく作られた防災施設、避難所といった側面があるようですが、ぼくは、ここに住む人のことがうらやましい。

 陽がさして、みどりがあるこんな場所が、いつでも、手の届くところにあるのですから。

 近くに住んでいなくても、この公園は、1日かけて楽しむだけの価値があります。バーベキュースペース利用の予約を取ってもいいと思います。

 公園にいるのにちょっと飽きたら、長めの散歩をすることをおすすめします。

 東大島の駅を南に歩くと、ほどなく仙台堀川公園に行き当たります。

 この運河に沿って作られた細長い公園は、自転車で通る人や、ベンチで座る人や、キャッチボールをする子供たちで平日でも人が大勢いる、地域に同化した公園です。

 そのまま歩いて砂町松本橋の交差点を右に曲がると、丸八通りにぶつかります。そこを越えれば砂町銀座商店街です。時分ともなれば、夕餉の買い物に出てきた人たちで、すれ違うのも難しいくらいの細い路地には、魅力的な商店が立ち並びます。コロッケやパンを買って、食べながら歩くのも、公園に戻って寝転びながら食べるのもいいでしょう。

 寄り道から戻ると、空が見える芝生が待っています。この広い芝生では、団地も適度な背景にすら見えてきます。

 緑と空と水。それ以上何がいるのだろう。東京の東のまんなかにある、この公園に来ると、そう感じます。

 しかも、ここには、それらは手付かずで、たっぷりあるのです。

 ♣♣♣

大島小松川公園(おおじまこまつがわこうえん)
*所在地:江東区大島9丁目、江戸川区小松川1丁目 TEL03-3636-9365(大島小松川公園サービスセンター)
*アクセス:地下鉄新宿線「東大島駅」下車 徒歩3分。

ミシュラン(☆3つが最高)
ひとり: ☆☆  線路の南側に広がる丘の方に登って、川面を眺めながらひと休み。なんて贅沢なひととき。
ふたり: ☆   ふたりでコロッケを食べたりしながら「東京の東側」を満喫する休日もなかなかでしょう。
おおぜい:☆☆  バーベキュースペースを使う場合は、予約が必要です。見晴らしのいい一日が過ごせます。
[PR]

by na2on | 2010-04-25 09:00 | 公園案内2
2010年 04月 24日
新宿御苑 「御苑と私」
 ワビサビとか、風流とかそういったものを面白がってつらつらと公園を見て回っているが、新宿御苑は、微妙な差異を意に介さない圧倒的な実力を持っている。いわば、キング・オブ・シティパークだ。

 園内に適切に配置された木々は、品良く並んで、品のいい花や実を結ぶ。池はそんな木々の枝と空の雲を映しこみ、芝生は青々と広がる。しかも園内は広い。常に人々が集っているが、花見などの特殊な時期を除いて、余裕を持って気ままに座ったり、遊ぶことができる。

 丁寧に手をかけられている園内の自然は、大きな逸脱なく、木々はきちんと並んで人々を迎え入れる。その向こうに新宿のビル街、ずっと遠くには東京タワーも見える景色は、東京の最も美しい表情のひとつとなるだろう。ニューヨークのセントラルパークなんかもこんな雰囲気なのだろうか。西洋風のシティパークのひとつの極みである。

 ひろびろとした芝生と美しい木立はもとより、イギリス式、フランス式、という西洋式庭園の二大流派の本格的な庭園を備えてもいる。そして西洋式ばかりではなく、一方で、日本庭園もちゃんとある。和洋取り揃えた奥行きの深さ。さらにゴミが少なく、トイレも基本的に清潔だ。ひとりで行っても、ふたりで行っても、大勢で行っても、1日楽しめる。はっきり言ってアリのはいでる隙間もないくらいの磐石なオトナの公園道を貫いている。

 トラディショナルという言葉が頭に浮かぶ。コンサバティブという言葉も浮かぶ。ついそういうものを茶化したくもなりもするのが、人の常、いやはっきり言えばぼくの習癖ではあるが、足しげくここに通っているうちに、そんな気分は抜けて、この公園の醸し出す雰囲気に身を委ねる心地よさを味わうことになる。毒気を抜かれた格好だ。

 素直になったぼくは、思う。新宿御苑があるからこそ、東京の他の公園を心ゆくまで楽しめているのかもしれない、と。

 ここにはぼくが思っている都市の公園が備えるべき要素が大体揃っている。それらは好みを超越した一般性を持った要素だ。だから、他の公園が御苑に比べて、どこが足りないのか、とか味わい深さを持っているのか、がその公園を評価する大きな基準となり得るのだ。

 逸脱の面白さは、常識とか伝統とか、王道があるから生まれてくる。逆に言えば王道がなければ逸脱は存在できない。逸脱は常識になったらカッコ悪いが、王道は常識を超越している。

 パンクやアナーキーもカッコいいが、無理やり続けたらくたばってしまう。それでもカッコよくそれらを続けている人は、意外と正統とかを良く勉強したりしているのである。

 常識的に考えると、自分の基準を持って行動できる人がカッコいい。世間から見て逸脱していても、彼らの基準は必ず今までにあったもの、あるものの中から自分で取捨選択して作り上げられている。それがいつしか人々を納得させ「道」ができる。

 そして公園の王道として、新宿御苑が存在するのである。

 昔ここで焚き火をしようとしたりして(未遂です)、無頼を気取っていたぼくは、深い反省とともにこの一文を書きました。

 ♣♣♣

新宿御苑(しんじゅくぎょえん)
*所在地:新宿区内藤町11 TEL03-3350-0151(環境省新宿御苑管理事務所)
*開園時間:9:00〜16:30(入園は16:00まで)
*休園日:月曜日(月曜日が祝祭日の場合は翌日)、年末年始(12月29日〜1月3日)*月曜日も開園の時期もあり。
*入園料:大人(15歳以上)200円、小中学生50円、他。
*アクセス:JR・京王・小田急線「新宿」下車 徒歩10分/地下鉄副都心線・新宿線「新宿三丁目」下車 徒歩5分/地下鉄丸ノ内線「新宿御苑」下車 徒歩5分/JR「千駄ヶ谷」下車 徒歩5分、地下鉄大江戸線「国立競技場」下車 徒歩5分、他。

ミシュラン(☆3つが最高)
*ひとり: ☆   近接する高島屋の入っているビルのテラスから御苑が一望できます。隠れた名所です。
*ふたり: ☆☆☆ ハンカチの木というロマンチックな名称の大木を見たりしながら穏やかに過ごせます。
*おおぜい:☆☆☆ 家族、友人と連れ立って花見やピクニックを楽しめます。追分団子を買うのがおすすめ。
[PR]

by na2on | 2010-04-24 23:27 | 公園案内2
2010年 04月 23日
荒川自然公園 都電に乗って。
 荒川区は、鮮烈な下町テイストを持った町を抱える区だ。日暮里の駄菓子問屋街は再開発で消えてしまったが、それでもなお、いい具合の風景が数多く残っている。そんな区の真ん中を横切っているのが、都電荒川線だ。

 終点の三ノ輪橋を降りると古めかしい商店が立ち並んだアーケード街だ。鰻の蒲焼やヌカ味噌の匂いが立ちこめ、その横にアッパッパ的な商品をぶら下げた服屋があっておばちゃんたちで混みあっている。

 ここら辺は昔から裁ちばさみや和竿など和物関係の職人が数多く住む町で、今も数こそ少なくなったが、それぞれの分野で一流と称される職人たちが残っている。彼らは、昔からの手作業の精度を上げ、更に商品を現代の需要に合わせるべく試行錯誤を繰り返して、現在の地位を築き上げている。

「手作りって懐かしいよね~」という見世物めいた世間の見方には笑って応えながら、そこから遠く離れたレベルでしたたかに生き残っているのだ。そんな町の商店街に、蒲焼屋が多いのは、手っ取り早く精を付けたい職人が、漬物を売るお店が多いのは、職人である亭主の仕事を手伝いながら家族のご飯を手早く作らなきゃならないオカミさんが数多くいた名残かもしれない。

 荒川自然公園は、三ノ輪橋から少し戻った荒川二丁目駅を降りてすぐの所にある。自然公園と銘打っているが、三河島水再生センターという下水処理場の上に作られた公園である。貯水池の上に作られた公園は23区内に数多くあるが、白鳥が休む池もある人工地盤とは思えない風情や、お年寄りから子供まで集うにぎやかさ、そして三ノ輪商店街をそばに控えた立地を含めて、ここの魅力は頭一つ抜け出しているような気がする。

 駅からだらだら坂を登ったところに池のある庭園があり、そこにはお年寄りなぞが静かにベンチでなごんだりしている。その先へ行くと遊具が並ぶ児童遊園が、そして奥には交通園があり、都電の踏切の音をややマイルドにしたニセ踏切がせわしなく上下する中を地元の子供たちが(足こぎ式)ゴーカートで爆走している。その傍らのベンチでスケッチブックを広げるおじさんなんぞもいて、この公園の年齢層は幅広い。

 ここいらは下町なんて言いながらも、川向こうには巨大なマンションが並ぶ。この公園は長い歴史を持つ町並みの中では新しく出来た部類に入るだろう。集っている人たちも、昔からの家の人と、新しいマンションに住む人が混ざっているようだが、それぞれが適当に遊んでいる。要するに、この公園は新旧でうまいこと融合している場所だ。

 元からここに住む人たちは、変化する町並みについて聞かれたら「昔の風情がなくなって」なんて相手が喜びそうなことを言いながら、本当はそんな変化を楽しんでいるんじゃないかとさえ思う。

 職人さんじゃないけど、東京に古くから根付いている人たちは、したたかで、柔軟で、格好いい。

 ♣♣♣

荒川自然公園(あらかわしぜんこうえん)
*所在地:荒川区荒川8-25-3 TEL03-3803-4042(公園管理事務所)
*開園時間:6:00~19:00(5月~9月)、7:00~19:00(3月~4月、10月~11月)、7:00~17:00(12月~2月)
*休園日:毎週月曜日、12月29日~1月3日
*アクセス:都電荒川二丁目駅下車すぐ。

ミシュラン(☆3つが最高)
*ひとり: ☆☆  定番ですが、都電沿線は散策するにはもってこい。この公園で夕暮れを眺めるなんて乙です。
*ふたり: ☆   この空中庭園を歩くカップルをモデルに気の利いた恋愛小説ができそうな感じではあります。
*おおぜい:☆☆  家族で、あるいは家族同士で遊ぶには最適。都電沿線なら尾久の原公園も広くておすすめです。
[PR]

by na2on | 2010-04-23 21:10 | 公園案内2
2010年 04月 22日
風が吹く場所。
 晴れた日に、海に面した人工庭園に行った。奇麗に刈り揃えられた芝生が植えられた池の周りを、ぼくは観光客と一緒にゆらゆらと歩いた。海水をひいた池の水面には陽光がきらめき、新緑が映し出される。その背後には、高層ビルの群れが屹立し、午後の光を反射している。

 美しく配置された箱庭のようなこの庭園の奥にある木立を入って、土手を登ると、もうひとつの池が現れる。表の明るさとは対照的に、人の気配のうすい池を、ぐるりと取り巻くように細くくねる道を歩いていると、いつの間にかひんやりとした空気がまわりに満ちていることに気づく。

 陽の光を遮る木立の中で、池はひそやかにたたずむ。波をたてない水面はその滑らかな肌に木立を映し込んでいる。かつては鴨猟のために作られたという池のほとりには、鴨を待つための小さな小屋が、今でも残されている。

 六角形の木組みの小屋に入って、池を見る。覆いかぶさるように茂る木々の枝を写し込む水面には、秘密めいた雰囲気が漂う。

 ここは、音を吸い込む池じゃないか。ふと感じる。思いつきのように頭に浮かんだ考えは、次第にぼくの中で故もなく確信へと変じていく。

 都市には、特有のノイズがある。車やエアコンといった数限りない人工物と同じく数限りない人々がそれぞれ出す音が集まってできた、単調で微妙にうねる通奏低音。

 その音は、風が運ぶ。都市に流れる風は、様々なものが発する音をひとつずつ集めて、町の中を駆け巡る。風が集めた音は、低く流れるベース音。そして風がビルや街路樹を通る時の音が、メロディーとなって音楽のようにも聞こえる。

 音を集めた風は、やがてその重みで動き回ることができないようになってくる。動けなくなった風は、とどまり、淀んでしまう。風が動き続いて、その場限りのうたをうたい続けなければならない。

 だから、たまったおりをかきだすような、音を抜く作業が不可欠だ。

 そのために、風は、東京をひとめぐりすると、この池の真上で収束して、吸い込まれる。そして、暗闇が支配する地下の通風管をたどって、音をふるい落として、新たな風として生まれ変わる。

 その目には見えぬ、空洞の太い管の中を束になった風が流れていく。音は、空洞の中でふるい落とされていく。ごうごうという轟音が暗い管の中に鳴り響く。

 しかし、この池で進められるものごとは、表面上は、静寂に支配されている。そして、水面下ですべてが無駄なくすみやかに行なわれていく。だから、そのことを知る人はいない。

 管は、海の向こうにある埋め立て地にぽつんと立つ、風車につながる。風は、そこから再び海に向け放たれる。

 風車の元の小さな小屋には、ひとりの風車番が寝起きし、風の様子を確かめ、風車の具合を調整している。余計な音が残っている風が町に流れても、風車の向きや強さを間違っても、あちこちに悪影響が及ぶ。最初はかすかな違和感がやがて大きなずれとなってしまう類いの悪影響だ。

 でも、風車番の腕は確かだ。彼は淡々と、決められた時間に風を見て、雲行きを見ながら、風車を調整していく。しゃべりたくなくてここに来たのか、ここに来たからしゃべらなくなったのかは、分からないが、無口だ。

 たまに風車の周りに作られた公園に遊びにきた人が話しかけても、彼は、最低限の言葉しか話さない。子供が興味を持つと、ポケットからあめ玉を出して、渡す。夜になると、ハーモニカの音がたまに聞こえる。多分彼が吹いているのだろう。

 池の脇に建てられた小さな木組みの小屋で、ぼくは、そんな想像をしながら実際に池に音が吸い込まれるありさまを目に浮かべる。すぐ脇の首都高速を走る車の走行音が、急に遠くからのやってくる音のように小さくなる。

 そして、海の向こうから流れてくる風のうたが、確かに聞こえるような気がして、一所懸命に耳をすます。

 からすが、かあ、と鳴いて、現実に引き戻された。車の音が耳に戻ってくる。そしてぼくは、歩き出し、町の中へ戻っていく。
[PR]

by na2on | 2010-04-22 02:06 | よりみち。
2010年 04月 21日
善福寺川緑地/和田堀公園 君がいるところ。
 個人的なことだが、ぼくはこの公園のわりと近くに住んでいたこともあって、当時は頻繁に通っていた。早くに目が覚めたから、天気がいいから、特に用事もないから、と、公園に行く理由はいくらでもあった。

 公園に行くと様々な人とでくわした。朝行けばジョギングをする人や詩吟をうなる人。昼行けば寝転がる人や太鼓を叩く人、詩吟をうなる人。夜行けばタバコを吸ってたたずむ人や詩吟をうなる人。何だかうなる人ばかりのような感もあるが、実際かなりの確率でうなり声を聞いた。多分ひとりかふたりなんだろうけど姿はついぞ見たことがない。

 川沿いのある家の前にはダンボールが置かれ、奇天烈な書体で「10円」とか「100円」と書かれた値札が下げられていた。中には自転車のサドルとか、ネジといった不思議な商品群に混じって唯一まっとうな商品としてテニスボールが並べられている。テニスボールは常にたっぷりと用意されているが、そこに立った我々はすぐそばにテニスコートがある事実を確認し、ここで100円で売られている少し使い込まれたテニスボールがどこで仕入れられたかについて、思いを馳せざるを得ない。

 奇天烈な書体の書き手と思しきおじさんは、午後になると川に餌を投げ込む。カモが集まり、たちまち阿鼻叫喚の様相を示す。かわいいねえと、この餌を買うお金(つまりテニスボールの収益金だ)がどういう流れで生まれてきたのかを知らない無知なギャラリーが集まると、どこからかやってきたもうひとりのおじさんが来て囁く。

「このカモたちはね、夜になるとお台場にあるねぐらに帰るんだよ」

 カモに付いていって見たのかよ、という素朴な疑問を投げかける間もなく、彼は別のギャラリーのところへ行って「夜はお台場」を繰り返す。その目的は不明だ。

 少し昔には、この公園の周辺は、うっそうと茂る森や緑地が続く渓谷で、子供たちの格好の冒険遊び場だったそうだ。整備が進み、芝生や遊具やグラウンドが点在する今でも、渓谷だった頃の片鱗は確かに感じ取ることができる。かつて大自然を彷彿とさせるだけの、余白がそこかしこに残っているのだ。

 木々が気ままに生い茂る余白の残った、川沿いのこの緑地に、近隣の人たちは、何かと集まって、思い思いの諸々を表現したり、放出していた。

 あるとき、公園の整備のピッチが急に上がった。その直後、ぼくは引っ越して郊外に移ってしまって、この公園から足が遠のいてしまった。

 ただ、この公園が、他でもよく見る、芝生が刈り揃えられたこぎれいな緑地となったとしても、現、旧いずれの少年少女も、変わらずに集って、なにやらイケてる遊びにいそしんでいるだろう。

 詩吟やお台場はもとより、夏の日の夕暮れに見た、打ち捨てられたような野球場でノック練習にいそしんでいた少年たちや、草はらに主人たちに連れて来られて互いに匂いを嗅いだり、走り回ったりしていた犬たちは、変らず元気にやっていくだろう。だって、ここはいつだって、皆の集う場所なのだから。

 ぼくは、ここの近所に住んで、我が家の庭のように足しげく通った。ここで過ごすひとときがとても大切だった。ここで見かけた人や動物を隣人として親近感を抱いた。公園は、ただそこに存在し続け、ぼくたちを受け入れ、ぼくはたくさんのものごとを体感してきた。そうやって、ぼくは、東京に住む、ということを、実感していった。

 あなたの近所に、いい公園はありますか、とぼくは聞きたい。もうあればラッキー。無ければ探せばいい。東京にはたくさんいい公園がある。見つかったら、そこに通いつめればいい。

 気の利いたカフェやパン屋を近所に見つけるように、そうやって、ぼくたちは少しずつその土地に根をおろして行くのだと思う。

 ♣♣♣

善福寺川緑地/和田堀公園(ぜんぷくじがわりょくち/わだぼりこうえん)
*所在地:杉並区成田西1-30-27
*アクセス:京王井の頭線「西永福」「浜田山」下車 徒歩15分/関東バス(JR中野駅─吉祥寺駅)「善福寺川緑地公園前」下車/京王バス、関東バス(京王井の頭線「永福町」駅-松ノ木住宅経由-JR「高円寺」駅または地下鉄丸の内線「新高円寺」(M03)駅行)「都立和田堀公園」下車

ミシュラン(☆3つが最高)
*ひとり: ☆☆  ひとり東西に長い公園を散策するといろんなものが見えてきます。かつては前川國男設計の阿佐ヶ谷住宅も公園そばにありました。
*ふたり: ☆☆☆ 散歩したり、和田堀にある釣り堀で遊んだり、大宮八幡を参拝したり、ワビサビの利いたひとときを楽しめること請け合います。
*おおぜい:☆☆☆ 暖かい季節は園内あちこちでお弁当を広げたりする人が見受けられます。遊具もそこここにあるので子連れも楽しめる公園です。
[PR]

by na2on | 2010-04-21 06:36 | 公園案内。