2010年 05月 02日
若洲海浜公園 ずれてゆく。
 公園へ向かうバスは、がたごとと倉庫街を走って行く。だだっ広い草地の中に無愛想な建物がぽつんぽつんと立つ景色は、大きなトラックがその建物から出入りすることで、かろうじて現実とのつながりを保っている。

 倉庫群の向こうには、午後の光に照らされた巨大な風車がそびえている。そこの下がバスの終点だ。降りると、海へと向かう先にキャンプ場が広がる。シーズンオフの時期、そこにはまるで人の気配がしない。手入れされた芝にぽつんぽつんとキャンプ施設が置かれている景色は噴火で埋まってしまったかつての街の遺跡を歩いているようだ。

 先の岬に出て、若洲ゴルフリンクの周りをぐるりと取り囲むようにして広がるのが、長いサイクリングコースだ。

 ぼくがはじめてここを訪れた時は、冬の夕方だった。岬には海釣りに来た人々が大勢いたが、サイクリングコースには誰もいない。自転車の貸し出しの時間が終わっていたので、ぼくは歩くことにした。左手にゴルフ場、右手に海、その間の緑地帯の真中を舗装された細い道が、ただ延びる。

 途中にブランコが置かれた小さな広場があるが、海を向いて置かれたブランコが、いつ来るとも分からない誰かのために、たたずんでいる。最後に人を座らせたのは、いつのことだろう。少なくともオフシーズンに海辺の道を歩く人は皆無に等しい。

 海からの風が吹き付ける中を歩いていると、自分の体臭やぬくもりが吹き飛ばされていくような気がしてくる。そしていつしか、自分の足音だけが、現実世界と自分を結びつけるような気になってくる。止まることが怖い。だから、ぼくは、『パリ、テキサス』の主人公のように、ただひたすら、歩き続ける。

 日が落ちてきて、海を隔てた向こうの葛西臨海公園の観覧車に明かりがともる。更に向こうのディズニーリゾートが煌煌とライトに照らし出される。幻想的な光景だが、それは逆にひどく現実的なものとして、ぼくの目に入りこんできて、少しだけほっとさせる。それらがなければ、ここには人の気配を感じさせるものがないからだ。

 誰もいない海辺の公園は、現実感が少しだけずれている。そこに足を踏み入れる感覚は、どこか秘密めいていて、何かぼくたちの知らないところで、大事なことが行なわれているような気もしてくる。

 時々、ここのキャンプ場や、ブランコのことを思い出す。そしてぼくは、倉庫街を抜けた場所にある広い公園に、無性に行きたくなってくる。

 ♣♣♣

若洲海浜公園(わかすかいひんこうえん)[区立若洲公園も含む]
*所在地:江東区若洲3-2-1 TEL03-5569-6701(若洲公園キャンプ場サービスセンター)
*アクセス:JR、地下鉄有楽町線、臨海副都心線「新木場」下車 都バス若洲キャンプ場行き終点「若洲キャンプ場前」下車(約15分)。

ミシュラン(☆3つが最高)
*ひとり: ☆☆  風車のごんごん回る音が響く公園は、わびしい雰囲気もあり。夜間は道が閉鎖されるので注意を。
*ふたり: ☆   近くのヘリポートから遊覧ヘリに乗るのも一興。夜は深川や門前仲町あたりで遊ぶのも乙です。
*おおぜい:☆☆  暖かく晴れた日の海辺の芝生は最高。バーベキューやサイクリングや釣りをたっぷり楽しめます。
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# by na2on | 2010-05-02 04:24 | 公園案内2
2010年 05月 01日
羽根木公園 当たり前のように。
 羽根木公園は、典型的な街の公園と言えるでしょう。

 それほど広くもない園内には梅林が広がり、テニスコートなどが揃えられ、奥には子供が遊べるプレーパークがある、つまり街の公園が備えるべき何かが一通り揃っています。

 公園の一角には茶室があります。そのひとつ日月庵はある棟梁の遺作です。明治神宮再建の際、実質的なトップを務めたその人は、数寄屋大工という職種上、あまり一般に名を知られることはなかったのですが、大工を始めとする職人衆の間では、その圧倒的な技術の高さで知られ、尊敬を集めていました。

 茶室と反対側の一角には、ここが日本第1号となるプレーパークがあります。ヨーロッパで子供たちが自分の責任で自由に遊ぶ場所として作られたプレーパークは、日本にも普及し、現在東京の各所で開催されています。

 そのオリジンたるここの、丸太や遊具が置かれた広場で、子供たちは、思っていたよりも嬉しそうにプレーリーダーの後にくっついて飛び回っています。同時に、よく見ていると、仲間と離れて一心に地面を見つめている子や、自分の格好いい姿を写真におさめろと大人に頼み込む子もいたりして、結構好き勝手にやっているようです。

 ここは、気の利いたものが、当たり前のようにあります。

 日月庵は必要以上にその存在を誇示することなく淡々とした、たたずまいです。よく見るとアルミサッシなんかも使われています。純粋な数寄屋造りでは維持に手間がかかりすぎると考えてのことと思います。棟梁は役に立つと考えたら、現代の技術も率先して使用したそうです。

 一方、プレーパークは一見ヒッピーの巣と見紛うような外見です。それもそうでここの遊具はすべて手作りで、いつ行っても子供が土にまみれて遊びまわっています。ここは地域のボランティアなどによって、ほぼ毎日開園されているのです。なかなか難しいことだと思います。

 一流のものは、その存在を誇示しないといいます。例えば靴だったらいい靴だなあと思わせるんじゃなくて、靴を履いていることを感じさせないような靴が一流品。公園を歩き回って疲れない靴って実際なかなかないです。

 この公園は、滅多に出会えない「品の良さ」を持っています。いいものが、これ見よがしでなく存在する。だから背伸びしないで楽しむことができる気がします。

 梅が八分咲きの時に行ったら木の下にいろんな人がいました。前日までの曇り空と打って変わって晴れたこともあって、保育園の園児と先生、障害者とその付き添い、親子連れ、そしてカップル、といった人たちが穏やかな午前を過ごしていました。

 梅が名物のこの公園が1年中で最もお洒落をした時、奇麗だろうねと集まってくるような人々は、自分たちの生活の中にこの公園を当たり前のように組み込んでいるようです。そんな人たちが、一番この公園の価値を理解しているのだと思います。

 ♣♣♣

羽根木公園(はねぎこうえん)
*所在地:世田谷区代田4−38−52
*アクセス:小田急「梅が丘」下車 徒歩5分/井の頭線「東松原」下車 徒歩7分、他。

ミシュラン(☆3つが最高)
*ひとり: ☆   梅が丘の周辺はのんびりした世田谷の住宅街。近くにはモッズスタイルのスーツの仕立屋さんも。
*ふたり: ☆☆  少し足を伸ばせば、豪徳寺(山下)の商店街。そのまま世田谷線に乗って散策も楽しいでしょう。
*おおぜい:☆☆  子供連れならプレーパークで遊ぶのも良し。専門家とも言うべきプレーリーダーがいて安心です。
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# by na2on | 2010-05-01 05:12 | 公園案内2
2010年 04月 30日
日比谷公園 風に吹かれて。
 ここは東京で初めて出来た公園である。

 明治に入って、日本に西洋の文化がものすごい勢いで入ってきたことに呼応して、都心に公園を作る運びとなった。その場所として選定されたのが、皇居にほど近い日比谷であり、いち早く西洋文化を自らのものとした設計家が西洋庭園をベースとした図面を引いた。

 当時の企画書には、その設立趣旨として、庶民の休日の遊びは寄席に行くぐらいで西洋に比べてすごくみっともない。西洋人みたいに戸外で活発に運動して体格を良くするべきで、庶民レベルからそういうことをしとかないと西洋人に馬鹿にされてしまう、という意味のことが書かれてある。

 早い話、西洋人は背が高くてカッコ良くて、それに比べて自分たちのことがすごくカッコ悪いと思いこんで、慌ててあちら風の庭園を造ってしまったのである。田舎者が表参道とか代官山に行って雑誌で調べたお店で恐る恐る洋服一式を買うようなノリだ(ごめんね明治政府)。

 まあ、田舎者だったら、後年になって、いやー恥ずかしかったで笑えるが、自らを否定するかのごとく急速に欧米化を進めたあげく、今度は彼らと戦争まで始めてしまった国家の話となると、ちょっと笑えない。

 現在の日比谷公園には、長方形の園内のあちこちにサラリーマンをはじめとする人々が集っている。一角の野外大音楽堂にコンサートで行った人も多いだろう。夏の夜にここでお気に入りの音楽を聞くのは、まさに至福の時間だ。

 この小体の公園は、慌てて造ったにも関わらず、しっかりとした設計がなされている。明治から平成にかけての長い時間に洗われ、時代の風に吹かれることで、その素性の良さが際立ってきているような気がする。明治期の人々の情熱の深さと努力ぶり、そしてセンスの良さは、歴代の日本の歴史の中でもかなり突出していたのではなかろうか。

 もう一度、そんな明治期に戻る。立派な意義もあり是非公園を造ろうとなったが、当局の頭を悩ませる問題があった。人々が集会をする格好の場所を提供することになるのだ。いつの世でも為政者たちは民衆が集まって決起するのを警戒する。公園には交番が設けられることとなった。

 これは予防という面だけではなく、集会しやすい場所であることを逆手に取って、集合した人々をこの交番でチェックして、要注意人物としてマークするという目的もあったそうだ。

 以前、あるデモに参加しようと集合場所の日比谷公園へと赴いた。冷たい風の吹きすさぶ真冬の公園に着くと、ものすごい数の人がいて、彼らは全員デモ参加者だった。

 ぼくの傍らではゼンキョウトウ的な現役の学生たちがひとりひとり「ワレワレハァ」と宇宙人が地球に来訪したときみたいな喋り方で、恥ずかしそうに演説していた。それを見ながら笑いつつ、ネットで同時中継をしようとしていた若者は、結局その放送がうまく行かないことをかかってきた電話で告げられしょんぼりしていた。どうやら人数は多いけど、人々のデモにかける思いの温度差は大きそうだった。

 そんなでこぼこの人々の行進はしかし、公園から外に出たところでしっかり公安の方々のビデオに記録された。当局の目論み通りである。

 季節はずれの屋台を出していたおっちゃんは、予想を遥かに超えた人出にゴキゲンだった。

「デモってすげえ人が集まるんだねえ」と彼は感心しながらワンカップを手渡した。「寒いから、体の中からあっためてさ、まあがんばんな」

「うん。よくわからんけどがんばるわ」とぼくが言ったらおっちゃんはニカッと笑った。

 ♣♣♣

日比谷公園(ひびやこうえん)
*所在地:千代田区日比谷公園
*アクセス:地下鉄丸の内線・千代田線「霞ヶ関」下車 徒歩2分/地下鉄日比谷線「日比谷」下車 徒歩2分/JR「有楽町」下車 徒歩8分。

ミシュラン(☆3つが最高)
*ひとり: ☆☆  ここは素敵な施設の多い公園でもあります。まず、北端にあるオープンカフェ。ここで飲むビアーはおいしいです。
*ふたり: ☆☆  そして真ん中にある松本楼。銀座の街角から移植した大木を見つつコーヒーを飲むひとときは最高に気持ちいいです。
*おおぜい:☆☆  最後に野音(大音楽堂)。夏の夕暮れに音楽をここで聞く至福と言ったら! ガーデンウェディングもできるそうです。
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# by na2on | 2010-04-30 22:54 | 公園案内2
2010年 04月 29日
公園遊具案内。
 東急の大井町線沿線は名公園が立ち並ぶ。二子玉川から大井町にかけて順に挙げて行くと、五島美術館の日本庭園、等々力渓谷、九品仏、洗足池、戸越公園、そして下神明駅前のタコの滑り台がある公園である。大井町に程近い下神明の駅はぼさっとした感じの小さな駅だが、その駅前の二葉公園にタコの滑り台がある。

 タコの滑り台は、それ専門のサイトがあるくらいで、一部の人には郷愁を誘う遊具らしい。ぼくは、自分が育った近所の公園にはタコの滑り台がなかったので、そういった懐かしさは感じないが、インパクトは大きい。町をぶらぶら歩いていて、突然小さな公園にタコがいると、感動すらする。街中にタコ。この意外性が嬉しいのである。

 ここのタコは親子で、大きなタコの後ろに小ダコがくっついている。以前CMで広末涼子がこのタコと絡んだそうで、そんな華やかな経歴に敬意を表して、タコ代表として紹介させてもらった。ちなみにタコの滑り台を一手に作っている会社の説明によると、もともと芸術家のタマゴが設計したもので、頭がついていないアブストラクトな遊具だったらしい。その後、もう少し子供受けさせようということでタコの頭をつけて、現在のタコの滑り台ができたようだ。東京23区内にも北東部を中心にまだ結構残っている。

 遊具で感動する物件は他にもあるが、王子の飛鳥山公園の遊具は極めてレベルが高かったと思う。スーパーリアリスティックな象のライドや、巨大なお城の形をした滑り台は、ほぼ無意味とすら思える情熱的かつ正確なデッサンによって作り上げられ、時間によって貫禄をつけて、他を寄せ付けないレベルにまで行きついてしまっていた。現在改装されて、随分イメージが変わってしまったのが残念でもある。

 遊具というよりシチュエーションで味わい深いのが、赤羽の西側の高台に広がる赤羽台団地と桐ヶ丘団地の小公園群である。UFO公園、お化け公園といった奇天烈な名前を持つ公園には、コンクリートを練り固めた奇天烈なオブジェが置かれ、その脇に団地がのっそりと立っている(ちなみにシーソー公園というのもあるんだが、そこにはシーソーがない)。その時空が捻じ曲がったような空間にいると本当に時間が経つのを忘れてしまう。

 そして、遊具のメッカとしてその筋に(どの筋だ?)名高いのが西六郷公園である。住宅街に設けられたごく普通の児童公園が何故に有名なのか、ということは、行けばすぐにわかる。

 公園中にタイヤがばらまかれているのである。ブリヂストンとかミシュランとかダンロップが砂場に置かれ、更にタイヤで造ったロボットとか恐竜がそびえ立つ。ロボットはビバンダム君にも似ていて、スポンサーとか大人の事情を考える向きもあるだろうが、多分そんな事情はない。こうなっちまった理由は不明だ。

 インパクト大なヴィジュアルが展開されてはいるものの、ここは、昼間は子どもたちが遊び回り、夜のとばりが降りてくる頃は、高校生のカップルが、ベンチに座ったりもするごく普通の街の公園だ。

 でも、全国共通の甘酸っぱい光景の背後に、月明かりに照らされたタイヤの恐竜がたたずむ絵は、なかなかにシュールではある。特によそから来た人間にとっては。

 そんな西六郷公園の最寄り駅は、京浜急行の雑色駅か、JR、東急の蒲田駅である。雑色駅前には、京浜急行の他の駅と共通するゆるやかな空気の商店街が続く。特にものすごい名店があるわけでもなさそうだが、ごく普通の姿で各店舗がたたずんでいるところがいい。
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# by na2on | 2010-04-29 06:33 | よりみち。
2010年 04月 28日
林試の森公園 おうちにかえろう。
 武蔵小山は、ものすごく長いアーケードを持った商店街で有名な街だ。

 駅を降りてそのアーケードと反対側に出て少し歩くと、林試の森公園が登場する。

 木々の間に舗装された道が走り、いくつかの広場を持つここは、近所の人たちが運動をする公園としての要素が強い。夕方にでも訪れると、部活の少年少女が走り回りボールを蹴り飛ばし、おじさんおばさんがランニングを続け、子供も負けじと自転車を乗り回す。

 広場のベンチに座って、サッカーの練習などを見ていると、ついつい時間が経ってしまう。小学校に入るか入らないかくらいの子どもたちが、サッカーの練習試合をしている。ボールが転がる方にキーパー含め全員で駆け寄り、とりあえず足を振り、ごろごろと転がったボールにまた全員で駆け寄る。

 指導する若いお兄さんは、めげずに戦術的ポジショニング(といっても「キーパーはゴールの前に戻って!」くらい)を大声で叫ぶが、そのうちひとりぼんやりと地面を見つめていた子にボールが当たって、その子が泣き出すと、ホイッスルを吹いて休憩を告げ、そっとため息をついて駆け寄る。

 夕暮れになって皆が帰り始めるのを見て、ぼくもベンチから離れる。少し先をおじいちゃんおばあちゃんが歩いている。おじいちゃんの背中には女の子がおぶさっている。

「今日はよく遊んだね。もう帰ろう」

 おじいちゃんは背中の孫に語りかける。

「お父さんもお母さんもおうちで待ってるよ」

 一所懸命遊んだのだろう。女の子はうつらうつらとしている。

「早く帰ろう。明日は幼稚園だから」

 おじいちゃんは、低くやわらかな声で語る。横を歩くおばあちゃんも女の子に語りかける。

「早くおうちでみんなでご飯食べよう」

 おじいちゃんとおばあちゃんは、ひとことひとこと、かみしめるように言葉を口にする。眠り始めた女の子にしゃべりかけることで、自分たちに孫がいるということを確かめ合っているかのようだ。

 孫がいるってどんな気持ちなんだろう。そう思いながら歩くぼくの脇を、高校生たちが駆け抜けていく。揃いのTシャツには、高校名と「我が陸上部は最速」と英語で書かれている。

 ぼくも、子どもから少年にかけて、彼らのように近所の公園で、蹴ったり、背中で眠ったり、走ったりしたような気がする。

 公園は、芝生に寝転ぶためだけにあるんじゃなくて、さまざまな物事を執り行うために存在する場所でもある。

 特に若い頃、真剣に何かやっているとき、自然が奇麗とかどうこうってのは、あんまり関係ない。でも、その頃のことを思い出すと、そこには必ず、葉の茂る木々の光景や、草いきれの匂いが伴ってくる。

 みんなこの公園で一所懸命走り回れていいなあ、と思う。この公園は、各年代、ひとりひとりに場を提供し続ける懐の深い公園だ。

 そして、日々を過ごしていって、孫をおぶって住宅街の方へ歩いていったおじいさんたちのように、公園で穏やかな夕暮れを迎え、家に帰ることができれば、それは、とても、嬉しいことだと思う。そうぼくは思うのだ。

 ♣♣♣

林試の森公園(りんしのもりこうえん)
*所在地:目黒区下目黒5丁目、品川区尾山台2丁目
*アクセス:東急目黒線「武蔵小山」下車 徒歩10分

ミシュラン(☆3つが最高)
*ひとり: ☆☆  元林野庁の林業試験場だけあり木々が茂る園内はちょっとした渓谷の趣があります。
*ふたり: ☆☆  目黒駅から歩くのもおすすめ。バスが境内に入ってくる目黒不動のレイドバックぶり!
*おおぜい:☆☆  武蔵小山の商店街も良し。大岡山まで電車に乗って行く洗足池もおすすめ公園です。
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# by na2on | 2010-04-28 00:22 | 公園案内2
2010年 04月 27日
桐ヶ丘・赤羽台団地内公園 凍れる瞬間。
 赤羽の東の台地に広がる桐ヶ丘団地は国内最初の団地として作られた。団地のパイオニアは現在、住民の高齢化が進んでいるようで、昼間、広大な団地は静まり、無表情な建物がそこここに立ち並ぶ。

 歩き回ると、所々に銭湯の廃墟や子供用の手打ちパチンコ台が置かれた商店街が忽然と現れる。団地内の桐ヶ丘中央公園にはお年寄りが集って日向ぼっこをしている。その傍らでピカピカの建物が建ち始めている。団地のリニューアルが始まっているのだ。

 桐ヶ丘の手前にある赤羽台団地もまた十分に風格のある巨大な団地だ。子供の姿は比較的多いが、団地内のあちこちにある公園で見ることは少ないような気がする。

 UFO公園、お化け公園と名づけられた小公園には、言われてみれば確かにそう見えなくもない、面妖なコンクリートのオブジェが置かれ、動物公園と名づけられた公園には動物の形をしたライドが多数置かれる。しかしシーソー公園と名づけられた公園にはシーソーは置かれておらず、廃車のバイクが1台、その代わりに放置されていた。

 山川方夫の短編で、団地に住んでいる新婚夫婦が夜ことを致した後に妻がトイレに行って水を流すと、他の部屋からも同じようにトイレの水を流す音が聞こえてくるという話がある。

 同じような家庭がぎっしりと入っている団地で、皆が同じような生活をしている不気味さを描いたものだ。ある人はそれを「凍れる瞬間」と呼んだ。ふと周りを見渡した時に感じるひやりとした不気味さ。それは、どこか狂気とつながるような気がする。

 小さな頃ぼくも高層団地に住んでいた。似たような家族が大勢住むその団地のぼくの部屋の前の廊下からは、以前、飛び降り自殺をした人がいるという話だった。その廊下に面した窓から毎日ぼくは外を見ていた。遠くに山が見えた。あの山の向こうに行きたい、とよく思っていた。

 山の向こうにはどんな街があって、人口はどれくらいでといったことは知っていた。でも、そこには実際に行かないと判らない何かがあって、ぼくは今とは違うその何かを味わいたいと願っていた。

 ぼくが子供の時ヘビーユーズしていた公園は、当然のごとく団地の脇にある小さな公園だった。子供にとっては社交場であり、いろんな面白いことや時には腹が立ったり悲しいことが起こる魅惑的なスペースだった。

 山のずっと向こうにある東京に来て随分になった今、赤羽台の小さな公園に立ってその頃のことを思い出す。ずらりと並んだ動物のライドは、墓場のようにも見える。ぼくは、街や公園を通じて、小さい頃に感じていた何かを味わいたいのだと思う。でも、この公園に立つと、ぼくは結局、どこへも行っていないと感じる。ただ、時間が経っていくだけだ。

 周りを見渡すと人気の薄い団地が立ち並ぶ。ここにはかつてたくさんの人々が住んで、生活を営んでいた。そして、無機質なコンクリートの塊が残った。

 ずらりと並ぶ窓のひとつに、老婆が、すっと横切った気がした。でも、いくら目をこらしても、そこには誰もいなかった。

 ♣♣♣

桐ヶ丘団地/赤羽台団地(きりがおかだんち/あかばねだいだんち)
*所在地:東京都北区桐ヶ丘、赤羽台周辺。
*アクセス:JR赤羽駅、北赤羽駅、都営地下鉄三田線本蓮沼駅、志村坂上駅が最寄り駅。団地内に赤羽駅発のバスも多数走っている。

ミシュラン(☆3つが最高)
*ひとり: ☆☆  無理矢理見れば2001年宇宙の旅風なコンクリートの遊具類は、その筋には有名。散策向き。
*ふたり: ☆   ‘70年代で時間が止まったままのような商店街も、その筋には有名。ふたり散策も楽しいかも。
*おおぜい:☆   同好の士で赴いた後、赤羽駅周辺のブルージーな飲食店で一杯ってのも、楽しいと思います。
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# by na2on | 2010-04-27 00:21 | 公園案内2
2010年 04月 26日
芝公園 「おさぼりさま」の楽園。
「この公園はすごく思い入れがある」

 とある人が言った。その人は有能かつ魅力的な女性なのだが、この公園の近所にある会社に勤めていたとき、よくここへサボりに来ていたそうだ。どうも会社勤めに向いていないことが判ってきて、わりと鬱々とした日々を過ごしていた彼女は、忙しい仕事の合間を縫って足しげく通っていた。その時の緑の具合とか、すごくよく覚えているという。そして自分にとって東京の公園と言えば、ここだ、と強調するのである。

 ぼくはこの公園のあんまり熱心な愛好家じゃない。良く知られた公園の割には今ひとつ掴みどころのないところ、くらいの印象だ。

 正直に言って、全体を歩きまわるというよりは、車で傍を走っているときに見るとか、たまたま入った入り口周辺のベンチに座って、というような使い方をされる公園だと思う。多分、彼女も芝公園の全貌を見たことはないと思う。聞いていないけど。

 にも関わらず、いい公園なのだ。

 多分、誰にでも足を良く向ける公園はあるんだと思う。例えばぼくの勤め先の傍にあった小さな公園は、特に目を引くようなものは何もないむしろ居心地悪い所だったが、会社にいるよりはずっといいので、実にしばしばサボりに行った。春に花が咲き、新緑になり、やがて紅葉して、という季節の流れもなんとか感じ取ることもできた。ムシャクシャしたり、痺れている時、ごくマレにすごく嬉しい時に見た木々の様子をその時の気分と共に鮮明に思い出すことができる。当然個人的には、思い入れのある公園と言える。

 そういった勤め先のそばにあって足をつい運ぶ公園があって、みどりがあると、ほっとした気分になるのは、もう、これはどうしようもなく当たり前のことだ。そういったとりあえずのひと休み、有り体に言えばサボりに利用される公園、いわば「おさぼりさまの公園」が、木々がうっそうと茂る中に、ベンチが点在するところだったら、なおのこといい。

 どんなときだって、公園で味わうほっとした気分はかけがえがない。そして、日常所属している場所からひととき開放される公園は、いかなる個人的な心持ちも受け入れ、内側に入ることを許してくれる懐の深さがある。

 そのひとつの代表が、芝公園。ここは都心の貴重な休息の地だ。見ればおさぼりさまがそこここに。ああいいなあ。この公園の近くの会社に勤めようか。なんて。

 ♣♣♣

芝公園(しばこうえん)
*所在地:港区芝公園
*アクセス:JR・東京モノレール「浜松町」下車 徒歩12分/地下鉄三田線「芝公園」もしくは「御成門」下車 徒歩2分/地下鉄浅草線・大江戸線「大門」下車 徒歩5分、等。

ミシュラン(☆3つが最高)
*ひとり: ☆☆  そこここに置かれたベンチで過ごす平日午後のひととき、みどり濃い芝公園は最適かも。
*ふたり: ☆   古墳の上に作られた芝公園は隣接する東京タワー等と共にかつては岬の突端だったそう。
*おおぜい:☆   そんな『アースダイバー』(中沢新一著)的視点で芝周辺を散策するのも楽しいはずです。
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# by na2on | 2010-04-26 00:22 | 公園案内2